日本縦断ロードトリップ2020秋【25日目】雨の仙北と横手やきそば

乳頭温泉競・紅葉するブナ林の中の道を走り抜けていく一台の車

当記事は、私個人が2020年10月5日から27日間で行った「福岡→札幌軽自動車で日本縦断景勝地めぐりの旅」の25日目の模様をお伝えするものです。旅に出た気分でお楽しみいただけると幸いです☺

こんにちは! 書けていない旅レポートが4日分も溜まっている「しぜんfan」のPollyです。※2020年11月12日に解消済み

前回の記事でご報告したのが、旅の19・20日目(10月24・25日分)でございました。そして当記事を書いている本日は、10月30日。

はて、あっという間に5日も経ってしまいましたねぇ。

その間なぜ記事が書けなかったかというと、旅の中身が忙しく、日々の山道運転も長く険しく、一日の終わりにパソコンに向かえるだけの元気が残っていなかったから。

新潟県の魚沼市から福島県の会津地方に入ってからというもの、ほとんどが深い山の中なんです。そして、とにかく景色がそこかしこ美しすぎて、何度車を停めても開放されないんですよ(笑)

黄金色の紅葉に包まれた道路と黒い軽自動車
福島県北部にて

あ、あれ撮りたい、あ、あっちもいいやん!ってな具合で、撮らないと気が済まないもので。

しかも、旅の前半でのんびりしすぎたため、広大な東北地方を巻きで行かねばならないという日程上の都合もあり―。

しかしこのまま書かずにいるわけにもいかないということで、とりあえず4記事分はすっ飛ばし、いきなり【25日目】(10月30日分)を作成したいと思います!

2020年11月12日、ようやくすっ飛ばした4日分の作成完了いたしました☺

21日目】【22日目】【23日目】【24日目

ロードトリップ25日目の概要

25日目のスタートは、秋田県湯沢市の「道の駅 おがち 小町の郷」です。秋田県最南端の道の駅。

いきなり余談ですが、この「湯沢市」というのは、2005年に元の湯沢市と雄勝郡雄勝町・稲川町・皆瀬村が合併してできた市なんだそうです。

道の駅の名前が「おがち(雄勝)」である理由はそこなんですね。

ちなみに、雄勝郡ならびに湯沢市は現内閣総理大臣・菅さんの出身地であるらしく、道の駅にも総理就任を祝う幟やポスターがたくさん見かけられました。

道の駅おがちにはためく「菅義偉先生 祝内閣総理大臣就任」の水色の幟

この水色の幟は、高校の同級生たちが作ったようです。地元から総理大臣が出るなんて、それはもう大変喜ばしい、名誉なことでしょうね!

続いて、この日の旅のゴールがどこだったかというと、秋田県鹿角市の「道の駅 大湯」です。

厳密には「秋田県最北」ではないけれど、もうかなり青森との県境に近いところにあります。「十和田湖」までもう一息!

© OpenStreetMap contributors

全体的なコースとしては、奥羽山脈を右手に見ながら秋田県内陸部を南から北まで縦走し、その道すがら、横手市で「横手焼きそば」をテイクアウトし、はるばる「田沢湖」まで持って行ってそれを食べた、というのが大筋。

「やきそばふじた」のお持ち帰り横手焼きそば in 田沢湖展望台
景色とミスマッチ!

その後、かの有名な秘湯「乳頭温泉郷」がそう遠くないことを知り、ちょっと見物に寄り道したりもしました。

乳頭温泉郷入口を示す道路看板
県道194号・乳頭温泉郷入口付近の様子

そこから八幡平をかすめ、鹿角に出るまでは延々山道で、途中の峠では最近雪が降ったのか、けっこうな量の残雪があったりもしました。夕方の道路の温度計は「4℃」。 

冬の訪れを刻一刻と感じる今日この頃です。

そんな25日目の走行距離は、ちょうど「250km」でございました。

少なくない距離だと思うのですが、それどころかこの旅では最長なのですが、それでも終わらない秋田県。さすがは全国で6番目に大きな県ですね!

稲刈り後の広大な田んぼ(秋田県横手市)
広大なライスフィールド

25日目の主な観光地

雄物川

さて、この日の初っ端の目的地は、湯沢市のお隣り・横手市の「横手焼きそば」。せっかく本場近くに来たからには、ぜひ食べたい。

しかし、「道の駅 おがち 小町の郷」から横手市まではたった25~30km。30分で着いてしまう距離です。

私は毎朝7時半ごろに道の駅を出発しますので、できれば焼きそば屋さんには8時に開いてほしいところですが(笑)、そんな時間から開いているお店はないんですよね。

Googleを駆使して探した中では、「10時開店」というのが一番早い様子。

ならば10時まで待ってやろうではないかと、ドライブしたりコンビニに寄ったり、フラフラしながら時間を潰すことに。その途中で立ち寄った「雄物川(おものがわ)」が何気に絶景でした。

水面が鏡になった雄物川

雨上がりの朝もやが残る山々をバックに、美しい水面の鏡。

「雄物川(おものがわ)」は湯沢市の「大仙山」を水源とする一級河川で、秋田県で一番長い川なんだそうです。河口は秋田市にあります。

「あきたこまち」を生む豊かな土地を支える一方、昔から洪水・氾濫で人々を苦しめてきたという側面を持ち、古くからあちこちで河川改修が行われてきたという歴史もあるんだとか。(参考:国土交通省「雄物川の歴史」)

この写真を撮った場所も、もしかすると一部川が堰き止められたりしている場所だったのかもしれません。

しばらく眺めていると、今度は雲が白鳥のような形になりました。ちょっとメルヘンですね☺

白鳥のような雲が映る雄物川

※国土交通省東北地方整備局による「雄物川」解説ページはこちら

「焼そば ふじた」

さあ、ようやく10時!

開店時間に合わせて張り切って向かった先は、横手市平鹿町にある「喫茶 焼そば ふじた」です。(Googleマップでは「ふじたやきそば」となっています。)

古い商店街の中にあるようでしたので、「すんなり見つけられるかな」「駐車場はどうなってるかな」といった不安もありつつ行ってみたのですが、全然心配なしでした。

なにしろ、こんなに分かりやすい駐車場があったのですから!

焼きそばふじたの駐車場

分かりやす過ぎて、ユニーク過ぎて、面食らうほどです。

お店の外観はというと、こんな感じ。

焼きそばふじたの外観(横手市)

10時に開く焼きそば店がここでなかったならば、横手焼きそばを食べたいという信念がなければ、入るのに怖気づきそうな店構え。

しかし、ここで引き下がるわけにはいきません。思い切って、2つある入口のうちの奥側から「おはようございまぁす…」と入店してみたところ…

店内は薄暗く、人の気配はなし。

かと思いきや、どこからともなく人の声がし、隣のスペースからキレイな年配のお姉さんが顔を出しました。「はい?」

私:「焼きそばの持ち帰りをお願いしたいのですが…」

お姉さん:「はいはい、じゃちょっと、こっち側に回って来て」

どうやら、手前の入口から入るのが正解だったようです。(大した問題ではありませんが。)

いざ店内に入って周りを見渡してみると、問題は「何をどの分量で頼むか」であることに気付きます。というくらいメニューが豊富で、量も「普通・中盛・大盛」から選べる模様。

「横手やきそば」にしても、ピリ辛の「坦々やきそば」とちょっとピリ辛の「横坦やきそば」があり、他にも、「いぶりがっこ」が入った「じゃんご焼きそば」なんかもあります。

お姉さんがざっと説明してはくれたのですが、いきなりその全貌を掴むことは難しく、初心者の私はとにかくスタンダードな横手焼きそば(普通盛り)をお願いすることにしました。

焼そばふじたの横手やきそば(持ち帰り容器入り)
出来立ての「横手やきそば」!

お値段は、一人前550円+持ち帰りの容器代30円=580円。たまごが2つも入っていますね☺ この後で、真っ赤な福神漬けも乗せてくれました。

そもそも「横手焼きそば」がどんな焼きそばなのかって、調べてみると以下のような特徴があるようです。(出典:Wikipedia

横手焼きそばの特徴

  • 具はキャベツや豚のひき肉など
  • 片面焼きの目玉焼きが乗る
  • 味は比較的甘口で、各店独自の出汁入りのウスターソースで味付けされるため、若干水分が多め
  • 蒸し麺ではなく茹でたストレートの角麺
  • 付け合せは紅しょうがではなく福神漬け

「ソースが多め」というのが大きな特徴のようで、持ち帰りの袋の中を後で見てみると、ソースの容器が付いていました。さらにこれを絡めて食べるようですね。

焼きそばふじたのテイクアウト
せっかくなので、2食分購入!

カフェオレのスティックまで付けてくれていたのが、ほっこり嬉しいです。

シャキッとかっこいい雰囲気かと思われたお姉さんも、いざお話ししてみると親しみやすく素敵な方で、お天気の話、お店の猫ちゃんの話など、秋田弁で気さくにお喋りしてくださいました。

手書きのメニューや小物などが賑やかに並ぶ店内も、なんだか実家やおばあちゃんちに帰ってきたかのようで、見知らぬ土地での少しの緊張感をほぐしてもらった気がします。

横手にお立ち寄りの際は、ぜひ食べに行ってみてください☺

田沢湖展望台(かたまえ山森林公園)

買った焼きそばをすぐには食べず、向かった先はおよそ65km先の「田沢湖」です。(細かいところは突っ込まないでください。)

すぐに湖畔に行ってしまうと湖を俯瞰して見ることができませんので、まずは湖畔にたどり着く1kmほど前にある「かたまえ山森林公園内の展望台へ。

かたまえ山森林公園・田沢湖展望台

公園入口から車で700mほど上ればご覧の通り、湖を一望することができる素晴らしい展望台にたどり着きます。

12時も過ぎ、お腹も空いたので、まずは横手焼きそばを!

田沢湖展望台と横手やきそば

雨が降ったり止んだりのお天気だったため、食べている最中に雨に降られて車内に避難する一幕はありましたが、大変美味しくいただきました☺

購入後2時間ほど寝かせた結果、たまごはとろとろ半熟ではなくなっていましたが、キャベツのシャキシャキは健在。しっとり柔らかめの太麺に出汁ソースがしっかり染みて、これがまたポリポリの福神漬けと合うんですねぇ。

焼そばふじたの横手やきそば

これまで食べてきた焼きそばとは別物、という感じで、とてもいい体験になりました。

それにしても、普通盛りでも最後はお腹が苦しくなるほどボリューム満点でしたが、これが大盛ならばどんな量になるんだろう…

さて、焼きそばをやっつけた後は景色です。なんと、虹が出たんですよ!

田沢湖と虹(かたまえ山森林公園・田沢湖展望台)
田沢湖と虹(かたまえ山森林公園・田沢湖展望台)

このとき展望台にいたのは私だけで、しかも一瞬で消えてしまったため、もしかするとこの虹を見たのはこの世で私だけだったかもしれませんよ!

夢のある話ですねぇ。

残念ながら「秋田駒ヶ岳」の方向(東)は雲に覆われていましたが、北の空には少しの間だけ青空を覗かせてくれ、雨の中にもそのサービス精神を出してくれた田沢湖さんでございました。ありがとう!

かたまえ山森林公園・田沢湖展望台からの眺め
かたまえ山森林公園・田沢湖展望台からの眺め

※仙北市による「かたまえ山森林公園」情報ページはこちら

たつこ像

焼きそばリポートで忙しく、田沢湖そのものについて全く触れないままになっておりましたが、実は田沢湖は日本で一番深い湖です。

深く、そして円形。ということはカルデラ湖か? と思いきや、本当のところの成因は未だ不明なんだそう。

そんな謎の湖・田沢湖をさらに神秘的な印象にしているのが、こちらの「たつこ像」です。

田沢湖のたつこ像

何者かというと、伝説の中の美貌のお嬢さんなのです。

その美しさは本人も自覚していたらしく、「この若さと美しさを永遠に保ちたい」と観音様に願をかけ、お告げの通りに泉の水を飲み、そして飲み干し、龍となって田沢湖の主となったんだそう。(参考:仙北市公式サイト「たつこ姫伝説」)

確かに、美人です。

田沢湖のたつこ像アップ

この像は舟越保武さんという方が制作し、昭和43年(1968年)4月12日に除幕されたそうで、もう建って50年以上も経つんですね。(参考:仙北市公式サイト「たつこ像」)

田沢湖は、十和田湖と比べると人気(ひとけ)が少なく、観光地としてはちょっと下り坂な感が否めないのですが、「たつこ」が今でも田沢湖の観光を支えていると言っても過言ではありません。

それはそうと、この「たつこ像」の初観光時に誰もがとまどうのではないかと思われるのが、駐車場の問題です。

まず、たつこ像はびっくりするくらい道路脇に立っており(下の写真左)、そのちょうど向かいには広めの駐車場があるんです。

しかしその駐車場は「斉藤商店」のもので、「当店を利用しない人は停めてくれるな」というメッセージが強く発せられています。

真面目な日本人は律儀にそれを守るわけですが、これ、「当店を利用しない人も停めてもいいよ」としたほうが、お客さん増えるような気がするんですが…どうでしょう。余計なお世話ですが。

ではどこに停めればいいのかというと、「斉藤商店」から100mほど南にある「ローズパークホテル」の横の駐車場か、さらにその先の「潟尻園地公衆トイレ」のある駐車場であれば普通に停めてよさそうでした。

さて、たつこ像付近を見学した後は反対側にも回り、別アングルからの湖も見届けて田沢湖観光終了!

田沢湖

乳頭温泉郷(訪問のみ)

ところで、テレビ番組でもよく聞く、秘湯と名高い「乳頭温泉郷(にゅうとうおんせんきょう)」。どこにあるんだか知ってましたか?

なんとなく「秋田、かなぁ?」とは思っても、私はこの日まで、その詳しい所在地を知りませんでした。

しかしなんと、田沢湖からちょっと東に行ったところにあったんですね! (たつこ像から温泉郷入口までは22kmほどの距離。)

ということで、様子だけでも見に行ってみることにしました。

…というのは半分ウソで、本当は田沢湖を見渡せるであろう「黒森展望台」というところに行くつもりで、東の「秋田駒ヶ岳」方面へ車を走らせたのです。

しかし、この展望台が閉鎖されていたという残念な結果を受け、そのまま山奥に突き進み、乳頭温泉見物へプラン変更したのでした。

立ち入り禁止の黒森展望台
立入禁止の「黒森展望台」
県道194号・乳頭温泉郷入口の様子
展望台から温泉郷入口へは約3.5km

ところが、実際に乳頭温泉郷に行ってみてびっくり。

乳頭温泉郷は、それは美しいブナの原生林に包まれた場所であり、しかもちょうど、紅葉真っ盛りの絶景を楽しむことができたのです。

紅葉最盛期の乳頭温泉郷
乳頭温泉郷を流れる川

特に、「休暇村 乳頭温泉郷」から奥の道が素晴らしくキレイでした。

紅葉最盛期の乳頭温泉郷のブナ林
紅葉最盛期の乳頭温泉郷のブナ林

紅葉は紅葉でも、ピンクゴールドのような色味が新鮮。雨に濡れた路面にその色が反射する様も、湿った森の匂いも、ピリッと冷たい空気も、全てが秋の風情といった感じです。

ニュージーランドのブナ林はエバーグリーンだったので、ブナは紅葉しないものだと思っていたのですが、するんですね!

ブナはブナでもいろいろな種類がある、ということを知ることができ、乳頭温泉郷の雰囲気も知ることができ、なんだかんだで大満足の寄り道となりました☺

※乳頭温泉郷についての詳細は、乳頭温泉組合公式サイト「乳頭温泉郷へようこそ」をご覧ください

さて、この後は進路を北へ変え、次第に薄暗くなっていく山道をひたすら鹿角へ向かって運転。鹿角市内でガソリン補給や買い物を済ませ、さらに16kmほど青森方面に進んだ先にある「道の駅 おおゆ」でフィニッシュといたしました。

途中、山中で霧が雲海のようになった様子が大層幻想的でしたよ。

宝仙湖周辺の山並みと霧

明日・26日目の予定

明日はついに10月最後の日。

私のこの旅の当初の目標は10月31日までに札幌に着くことでしたが…達成できそうにありません(笑)旅の前半でちんたらしすぎました。

しかし、札幌は無理でもせめて北海道には上陸したい! ということで、明日10月31日はいよいよ、青森港からフェリーに乗って函館に上陸するつもりでございます!

(※青函トンネルは、車は通れません)

大好きな東北、今回の旅では6県中4県しか行けず、しかも駆け足となってしまったことが無念。

しかし、秋の北日本を走り抜けることができたこと、最高の思い出です。

紅葉期の福島西部の峠道を越える黒い軽自動車
激走させられた私のライフ

まだまだ明日も青森での一日が残っていますから、気を抜かずに本州での最終日を楽しみたいと思います!

行先は「十和田湖」と「奥入瀬渓流」の予定です。ぜひまたお付き合いください☺

それでは、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!

Polly

※当記事内の主な写真および現地情報は、2020年10月30日時点のものです。

丸太に乗った赤と黄色のモミジの葉