こんにちは! 福岡市在住の一般市民、「しぜんfan」のPollyです。
そしてこの記事は、プロ野球観戦初心者に毛が生えたくらいの私が、初心者の視点で、これから野球を見始めるという方々の楽しい観戦を応援するものです。
基本ルール編、カウントボード編に続き、第3回目となる今回のテーマは「野球用語」!
せっかく野球を見始めてみたのに、飛び交うプロ野球用語になかなか付いていけず、いまいち状況がつかめない…ということはありませんか?
例えば「ゲッツー」や「サンユウカン」。あるいは「抜けたー!」とか。
謎の言葉や言い回しは初心者の敵! なのですが、逆に、一度その意味が分かれば観戦がグッと楽しくなるのも事実。
そこで今回は、私自身がこの3年間で習得してきた用語をピックアップし、ネットで意味の裏付けもしつつ、「観戦ビギナーのためのプロ野球用語集」を作成してみようと思います!(どうせマニアックな話はできませんのでご安心を…笑)
用語の数は今のところ「50語」です。
下の目次に気になる言葉があればチェックしていただき、もしくは、上から順にずらりと目を通していただき、今後の観戦にお役立ていただければ幸いです☺
目次
はじめに
用語紹介は、シンプルに「あいうえお順」でいこうと思います。
なお、私の野球観戦の師匠は、昭和の時代から50年以上も日本野球界を見守り続けてきた「私の母」です(笑) 彼女が応援している球団は、ソフトバンクと広島。
現在活躍している野球解説者が現役時代はどこの球団にいたか、名前を聞けば大抵はポジションまで答えられるというそこそこの強者です(笑)
かくいう私は日ハムファンで、見る試合もパ・リーグのものばかりですので、ここで紹介している用語も主にパ・リーグ観戦から学んだものです。セ・リーグとの若干の違いを拾い切れていな場合はご容赦くださいませ。
それでは、いってみましょう!
プロ野球用語集
あ行
アンパイア
審判員のことです。球審(キャッチャーの後ろに立っている人)、塁審(各塁の側にいる人)、外審(外野のラインを見守る人、線審ともいう)の3種類があります。
日本のプロ野球では、球審と塁審のみの計4名で審判を行うのが主流のようです。
ちなみに、審判団の中でリーダーの役目をする審判員のことを主審(プレートアンパイア)といいます。
育成選手・育成出身
野球の試合で私たちが普段目にするのは「一軍」の試合です。
実はこの一軍の選手たちというのは“スター中のスター”で、各球団には、一軍デビューを目指して日々腕を磨いているスター候補たちがたくさんいるのです。
まず、一軍にあと一歩というところにいるのが「二軍(ファーム)」の選手たち。一軍にセントラル・リーグとパシフィック・リーグがあるように、二軍でもイースタン・リーグとウエスタン・リーグという2つのリーグに分かれ、二軍本拠地の球場で試合を行っています。
これら一軍と二軍の選手たちは、その球団の公式選手として「支配下登録」をされた選手たちとなります。
「育成選手」というのは、支配下登録までは届かないけれど将来有望と見込まれ、その球団と契約した“三軍”の選手たちのことです。(元は一軍・二軍にいたが怪我などで一旦下がった選手もいます。)
一球団が支配下登録できる人数の上限は70人。育成の選手たちはその70人に、ひいては一軍の29人に入ることを目指してトレーニングに励むんですね。
そうして上がってきた選手たちのことを「育成出身」といい、ここ最近では、ソフトバンクの千賀投手と甲斐捕手が育成出身ゴールデン・バッテリーとして有名です。
打ち上げたー!
これは、実況のアナウンサーがよく言っています。
誰が何を打ち上げたのかというと、バッターが球を打ち上げた、のです。
基本ルール編の『打球の種類』の章でもご説明していますが、高く打ち上がった打球は「フライ」と呼ばれ、その球を敵の守備がパクっと捕ると、そのバッターは一発でアウトとなってしまいます。
ということで、例えば2アウト満塁のとき、バッターがフライをすれば点を取れないまま3アウトチェンジになりますよね。ホームランになれば一気に4点のチャンスだったのに。
そういう劇的なシーンでは、アナウンサーも興奮して「う・ち・あ・げ・たーー!! センター○○が捕って3アウトーー!!」とか叫ぶわけですね。
右中間(うちゅうかん)
私は子どもの頃、これを「宇宙間」だと思っていました(笑)
実況の人が「ウチュウカンに高く打ち上げたー!」などと言っているので、「ああ、宇宙くらい高いところに球が飛んでいったんだな」と思っていたんです。
しかし本当は「右中間」。外野の「右翼手」(ライト)と「中堅手」(センター)の間、ということだったようです。
※各ポジションの位置については基本ルール編『守備のポジション』参照のこと
FA宣言
まず、「FA」というのは、「Free Agent」のことです。
日本の野球界にはデタラメな英語が多いので、これもまたそうかと疑ってかかったのですが、調べてみると、アメリカのMLB(メジャーリーグ)でも使われている歴とした英語でした。
ここでの「Agent」は、ありがちな「代理店、工作員」という意味ではなく、「動作主、行為者、発動者」という意味。よって「Free Agent」は、「自分の意思で自由に動ける人」というような意味合いであると思われます。
これを野球界に当てはめると、現在どこかの球団に所属している選手が、「私は他の球団に自由に移籍できる状態ですよ」と宣言することを「FA宣言」といいます。
要するに、お誘い待ち状態という感じ。
どの球団でもやっていけるほど実力もついたし、違う環境で自分を試してもみたいし、今よりもっと高い契約金で雇ってくれるところがあればそっちのほうがいいし…という心境でしょうかね。
FA宣言は選手の誰もができるわけではなく、国内でのFA権を獲得するには、
- 一軍として登録された年が、高卒なら8年、大卒・社会人卒ならば7年
- 各年の登録日数は145日以上
というような条件があります。海外FA権の場合は、全選手とも9年の実績が必要です。
取得したからといって必ずしも行使せねばならないというものではなく、選手が「自分は生涯この球団でがんばる!」と決めているならば、FA宣言せずともそれはそれでOKです。
エラー(失策)
「エラー」というのは、平たく言うと野手のミスのことです。
普通に球を捕って塁に投げればランナーをアウトにできたのに、球を捕りそこなってモタモタしたためにアウトにし損ねたり、球は捕れたが焦り過ぎて変なコースに送球してしまったり…。
相手チームからすると、“嬉しいプレゼント”ですけどね(笑)
エラーをしてしまえば公式記録に残ってしまいますので、シーズン後にスポーツニュースで「エラーが一番多かった選手、球団は?」などいう不名誉なコーナーに登場してしまうことも。
抑え(クローザー・守護神)
野球で「抑え」というと、試合の最後の回に出てくる投手のことです。
特にそのチームが勝っているとき、「相手チームに逆転を許さず、このまま勝ち切るぞ!」という意気込みで登場するので、「守護神✨」とも呼ばれます。
絶対的守護神がいるかどうかはチームによりけりのようですが、DeNAの山﨑投手はかなり有名。他にも、ソフトバンクなら森投手かサファテ投手、西武なら増田投手などが挙げられます。
送りバント(犠牲バント)
まず「バント」というのは、バッターがバットをブンっと降らずにチョコンと当てることです。
チョコンと当てることで球は内野の浅いところに転がるため、相手チームの守備は捕球に手間取ります。その間、既に一塁に出ていたランナーは、ササッと二塁に走ることができるというわけですね。
ランナーを塁から塁に送るためのバント、なので「送りバント」。
バントした本人は一塁には間に合わずにアウトとなってしまうケースが殆どであるため、「犠牲バント」とも呼ばれるようです。二人とも生き残るバントのことは「セイフティーバント」といいます。
簡単そうに見えて、結構難しいようですよ。
か行
勝ち投手
文字通り「勝ったチームの投手」ということなのですが、プロ野球の試合では、一人の投手が試合開始から終了までを投げ通すということはあまりありません。
では、誰が代表して“勝ち投手”になるのか?
コトバンクによる勝ち投手(勝利投手)の説明は「一つの野球試合でチームの勝利にもっとも貢献した投手」となっており、この説明で満足できればそれでよし(笑)
それでは足りない! という勉強熱心なあなたのためにもう少し掘り下げて調べてみると…
まず、
- 最低でも5回までを投げ切る
- 自分が降板した時点で自チームがリードしている
という2つの条件を満たすと「勝ち投手の権利」を得ます。
そして、
- 自分が降板した後も自チームがリードを保ったまま勝利する
という3つめの条件を満たすと、晴れて「勝ち投手」となります。
以下のような状況でチームが勝利した場合は、中継ぎ投手(リリーフ投手、救援投手)の誰かが勝ち投手となります。
先発投手が
- 5回に満たないうちに降板した場合
- 負けたまま6回以降に降板した場合
- 勝ったまま降板したが、その後で一旦は逆転されてしまった場合 など
なかなか複雑ですので、プロ野球ファンの全員が完全に理解しているかというと、必ずしもそうではないと思われます。
ちなみに、勝ち投手の反対は「負け投手」ですね!
犠牲フライ
バッターがフライを打つと、敵の捕球とともにそのバッターはアウトとなってしまいますよね。しかもそれを2アウトの時点でやれば、どれだけ塁にランナーがいようとも、すぐさま3アウトチェンジとなってしまいます。
しかしこれがノーアウト or 1アウトのときであれば、捕球されたボールが塁に届くまでの間は、味方のランナーにとっては進塁するチャンスとなります。
このように、打った本人は犠牲になるが、味方の進塁に繋がるフライのことを「犠牲フライ」といいます。
「犠牲バント」との違いは、故意に狙ってそれをするか(犠牲バント)、結果的にそうなってしまったか(犠牲フライ)、というところにあるのではないかと思います。
クリーンナップ
打順3・4・5番のこと。長打・強打でランナーを帰塁させる役割を期待されており、塁を一掃することから「Clean-up」と呼ばれる、と思われます。
※関連記事→基本ルール編『打順・打線』
敬遠
「敬遠」とは、守備チーム側バッテリーがバッターとの対戦を避けることです。
具体的には、わざとフォアボールを与えるか、審判に敬遠の意思を伝えて「申告敬遠」をするかをし、バッターを一塁に歩かせます。※関連項目→『フォアボール』
敬遠が起こり得る状況としては、例えば、2アウトでランナー三塁二塁、ネクストバッターが4番であるとき。
万が一ホームランでも打たれてしまえば、確実に3点を失ってしまいます。最悪です。それよりは4番を一塁へ出して満塁にしてしまい、次の5番と対戦した方がリスクが少ない、という判断ですね。
しかし当然、5番からヒットやホームランが出れば失点してしまいますので…いずれにしてもギャンブルですよね(汗)
ゲッツー(ダブルプレイ・併殺)
ゲッツーとは、「get two」を英語っぽく繋げて言ったものだと思われますが、完全に和製英語です。おそらく日本の野球界にしか存在しない言葉でしょう。
プレイの意味としては、一度に2人のランナーをアウトにしてしまうことです。
一番よくあるのは、一塁にランナーがいる状態で打席に入ったバッターが、内野ゴロを打ってしまったとき。ショートあたりがすぐさま捕球して、まずは二塁がアウト(フォースアウト・封殺)になります。そして、間髪入れずにセカンドからファーストに送球され、一塁もアウト!
守っていたチームにしてみると「してやったり」ですし、攻めていたチームにしてみると、もう最低。
両方の意味で、ベンチも実況アナウンサーも観客も盛り上がる瞬間となります。
コールドゲーム
野球の試合は9回まで(延長時は12回まで)ですが、何らかの理由で途中で打ち切りとなったゲームのことを「コールドゲーム」といいます。
打ち切られた結果、有効試合として成立するか、それとも「なかったこと」になってしまうかを分かつのは「5回裏」です。
例えば5回表終了時点でどんなに点差が付いていたとしても、コールドになればそこで終わり。勝敗はつきません。負けていた方はラッキー、勝っていた方はアンラッキー。
コールドになる理由として一番多いのは悪天候で、雨の場合は「雨天コールド(降雨コールド)」と言いますね。
雨天以外にも、ナイター照明設備が十分でない球場では、デーゲームが長引いたときなどに「日没コールド」になることもあります。直近では、2019年8月の釧路市民球場での日ハム‐西部戦が8回表、8‐10で日没コールドしたことが話題になりました。
近年では滅多にないことらしいですよ。
ゴールデングラブ賞
よく聞く賞の名前ですが、一体どんな賞?
私もよく知りませんでしたので、これを機に調べてみたところ、正式名称を「三井ゴールデン・グラブ賞」というようです。昨シーズン(2019年)で第48回を迎えました。
同賞の公式サイトによると、「新聞社、通信社、テレビ局、ラジオ局のプロ野球担当記者として5年以上にわたり現場での取材を主に担当している記者が投票で選ぶ権威ある賞の一つ」だそうで、セパの各ポジションから9名ずつ、毎年計18名が選ばれます。
2019年の受賞者はこちらの公式ページ「結果・得票数」から確認できますよ。パではソフトバンクの松田選手(サード)が、セでは広島の菊池選手(セカンド)が7年連続で受賞中!
ゴロ
「地面を転がるか、またはバウンドしていく打球。グラウンドボール。グラウンダー(grounder=ground ball)の音変化とも、ごろごろ転がる意からともいう」そうです。(goo辞書より)
私は、ゴロゴロ転がるからゴロ、と思っています。昭和なセンスがいかにもな感じかな、と(笑)
よく耳に入ってくるのが「ぼてぼてのゴロ」という言い回しですが、これはどうやら、勢いもなく内野に転がる(バウンドする)緩い打球のことを言っているようです。
かといってそれが悪いかというとそうとも限らず、相手が処理するより先に一塁に走り込んでしまえれば「内野安打」になれます。
さ行
サヨナラ
野球の「サヨナラ」は、雰囲気的には「勝ち逃げ」です(笑)
なぜかというと、相手チームからしてみると、反撃のチャンスがないままに試合が終わってしまうから。
状況としては、例えば、9回の表が終わった時点で同点だったところ、裏で点数が入れば「サヨナラ勝ち」になります。延長にもつれ込んだ場合の10回裏、11回裏、12回裏も同様です。
特に、最後にホームランを打って決勝点になればそれは「サヨナラホームラン」と呼ばれ、チームやファンの喜びもひとしお。
また、9回の表終了時点では先攻チームが勝っていたにも関わらず、裏で後攻チームが逆転勝ちに成功した場合は「逆転サヨナラ」です。最もドラマティックな勝ち方と言っても過言ではないでしょう。
沢村賞(沢村栄治賞)
沢村栄治さんというのは、戦前の日本プロ野球界で活躍した伝説の豪速球投手です。史上初のノーヒットノーランを達成したり、メジャーリーグ選抜チーム相手に好投したりと、巨人のエースとして輝かしい功績を残しましたが、1944年に27歳で戦死。
「沢村賞」は、読売新聞社が同氏を讃えて戦後に制定したもので、シーズンで最も優れた先発完投型の投手1名に授与される特別賞です。
受賞には7つの選考基準があるのですが、その基準が厳しすぎるため、2019年シーズンは「該当者なし」という結果に終わって話題となりました。
中でも「完投10試合以上」、「投球200イニング以上」の2つは今の時代には達成することは難しく、今後は受賞者が減っていくのではないかと言われているそうです。
ちなみに2018年の受賞者は、巨人の菅野智之投手(2年連続)でした。
(参考:コトバンク「沢村賞」、サンスポ「歴代沢村賞」、Number「サイ・ヤング賞より歴史ある沢村賞」など)
三者凡退(さんしゃぼんたい)
これは、自分の応援するチームの攻撃時には聞きたくない言葉ですね…。
意味は、「3人ともが大したことは何もせずに退くこと」。つまり、打者3人のうち、誰も一度も塁に出ることなくその回の攻撃が終わるという状況のことを言います。
投手にしてみれば、「いい仕事した!」という素晴らしい回となりますね!
三遊間(さんゆうかん)
内野の「三塁手(サード)と遊撃手(ショート)の間」のことです。
その他、二塁手と遊撃手の間は「二遊間(にゆうかん)」、一塁手と二塁手の間は「一二塁間(いちにるいかん)」と呼ばれます。※ポジションの位置については、基本ルール編『守備のポジション』参照のこと。
外野の右中間・左中間もそうですが、各ポジションの中間は守備が薄くなりがちですので、打球が抜けやすいスポットとなるようです。
支配下登録
球団が選手を一軍・二軍に採用し、公に独占契約を結ぶこと。※関連項目→『育成選手・育成出身』
首位打者
その年の公式戦全試合を通して打率の一番高かった選手に与えられるタイトル。※関連項目→『打率』
センターフライ
外野のセンター、中堅手の守備範囲に落下するフライのことです。「フライ」については、基本ルール編の『打球の種類』の章をご確認ください。
通常は難なく捕球されてバッターアウトとなるシーンですが、もしもここでセンターの野手が捕球し損なえば進塁に繋がりますので、フライを打った側の観客は(もしかすると選手も)「落とせ、落とせー!」と叫んだりします(笑)
これは、内野フライでもライトフライでも、何フライでも同じですね。
先発
野球で「センパツ」というと、「先発ピッチャー」のこと。スタメンとして試合の1イニング目から投げる投手のことで、英語では「スターター」と言うようです。
一昔前までは、この先発投手が試合終了まで投げ切る(完投する)のが主流でしたが、これでは投手の肩や肘にかかる負担が大きすぎる、ということで、近年のプロ野球で一人の投手が完投することはほとんどありません。(→関連項目『沢村賞』)
大抵は100球前後投げたところ、回にすると5~7回くらいまでを投げたところでマウンドを降り、「継投(けいとう)・リリーフ」に入ります。
特に、先発投手の後に継投をする投手(たち)のことを「中継ぎ」、試合の最後を締める投手を「抑え」と呼びます。
先発もリリーフ陣も、監督・コーチが「これ以上投げさせたら打たれるな」と判断すれば、予定より早く交代させられることもあり、監督がベンチから出てきて審判の方に歩いて行けば、それが「ピッチャー交代」のサインです。
戦力外通告
選手と球団との契約は基本的には年単位となり、その期間は2月1日~11月30日の10ヶ月間です。(主力選手は前もって複数年契約をしたりもします。)
この10ヶ月間をざっくりスケジュールで表すと、以下のような流れとなります。
- 春季キャンプ(2月)
- オープン戦(2・3月)
- ペナントレース(3月末~9月末)
- クライマックス・シリーズ(10月)
- 日本シリーズ(10月)
- 秋季キャンプ(11月)
シーズン中、いい成績を残せば残すほど次の契約更改時の年棒がグンと上がるかもしれませんし、選手たちはもちろん一生懸命がんばりますよね。
しかし中には、体力や身体能力の低下、怪我・故障、不調などで期待される通りの働きができない選手もでてきます。そしてそれは、球団側もしっかり見ています。
球団が「この選手とは今年で終わりにしよう」と決めたとすると、「来年は契約しませんので、そのつもりで…」という旨を本人に伝えるんですね。これを「戦力外通告」といいます。
時期としては、10月頃になるようです。
戦力外通告を受けた選手がまだプロとして頑張りたい場合は、まずは11月半ばに行われる「12球団合同トライアウト」に挑戦し、他チームからの入団オファーを待ちます。
残念ながらどこからも声がかからなければ、現契約満了後は「自由契約」の身となって再起を図るか、社会人野球に活路を見出すか。
そういった視点で考えると、40歳前後で「我が野球人生に一片の悔い無し!」と晴れ晴れと引退できた選手というのは、一握りしかいない幸せな選手なのかもしれませんね。
ちなみにこの場合の「自由契約」は、「FA」とは違います。こちらは“先行き不透明な自由”、あちらは“今後も安泰な自由”といった感じです。※関連項目→『FA宣言』
た行
代走(ピンチランナー)
文字通り、「代わりに走る人」のことです。
例えば足のあまり速くない人が塁に出たとして、「どうしても走者を進めて1点取りたい!」という局面では、その選手をそのまま走らせるよりは、チームで一番足の速い人を代わりに走らせた方がいいですもんね。
2019年プレミア12での周東選手(ソ)の活躍は記憶にも新しいです。
そうして代走を送ることによってうまく点が取れれば万々歳ですが、実は、代走の起用には注意点もあります。それは、代走=選手交代であるということ。
交代してベンチに下がった選手は、その試合ではその後もう表に出ることはできません。よって、引っ込んだ選手がよく打つ選手だった場合、もしくは、代走選手があまり打てない選手だった場合は、次のイニング以降の戦力に影響するということになります。
そういう事情から、代走は試合の終盤に出てくることが多いようです。
代打(ピンチヒッター)
代打も、バッターの負傷時以外は、代走と同じ考え方です。
より打つ能力に長けた選手を送り込むことで進塁のチャンスを広げよう、ひいては得点のチャンスをつかもう、という戦略。
パ・リーグでは「ここで絶対打ってほしい!」という局面で起用されますが、ピッチャーも打者として打線に加わるセ・リーグでは、単に終盤の攻撃力を上げるために代わることも多いようです。
序盤・中盤で代打を起用しない理由は、代走の項目内でもお話した通り、一度交代した選手は再び試合に戻ることが出来ないからですね。
それにしても、いきなり出されて打つことを期待されるわけですから、代打を務める選手たちって本当にすごいなぁ、といつも思います。
タイムリーヒット(適時打)
絶好のタイミングで期待通りに飛び出したヒットのことを「タイムリーヒット」といいます。
ただのヒットとの違いは何かという疑問が湧きますが、「タイムリー」になるのは、既に走者が塁に出ており、そのヒットを打つことで得点に繋がった場合です。
野球では、ちょうどいいタイミングでヒットやホームランが出てくれずにガッカリすることも多々ありますので、タイムリーが出たときにはかなりスカッとしますよね!
打順(オーダー)
チームの攻撃時に、9人がバットを握る順番のこと。詳しくは、基本ルール編の『打順・打線』の章をご覧ください。
打率
野球の実況や解説を聞いていると、「2割5分9厘(りん)」などと、今どき日常生活では使わないような謎の“割合”を度々耳にしますが、あれが「打率」と呼ばれるものです。
小数点以下を「割・分・厘」で表しています。
具体的に何を表しているのか、一言で説明すると、その選手がこれまでに安打(ヒットやホームラン)を打った確率、ということになります。
どうやって算出するかというと…
打率 = 安打数 ÷ 打数
打率とは、打席数から犠打、犠飛、四死球を除いた打数のうち、安打の割合を表します。
NPB公式サイト「記録の計算方法」より
よく分かりません(笑)
ちょっと補足説明をすると、「打数」というのは、「これまでに打席に立った回数」から「犠牲バント・犠牲フライ・フォアボール・デッドボール」を引いたものです。
…とにかく、安打数が多い方が打率は上がる、ということは間違いないでしょう(笑)
連日試合が続いている時期だと打率は毎日(正確には毎打席)変わりますので、調子が良ければ上がりますし、調子が悪くなればガクッと下がったりもします。
最終的には3割を超えればかなりいい方で、参考までに、2019年にセ・リーグで打率1位(首位打者)だった鈴木誠也選手(広島)は「0.335」、パ・リーグの首位打者だった森友哉捕手(西武)は「0.329」でした。(出典:週刊ベースボールONLINE「セ・リーグ 打率」「パ・リーグ 打率」)
貯金・借金
「順調に貯金を増やし…」とか「これで借金6になってしまいました」とか、「貯金・借金」という言葉もよく聞きますよね。
これは、1つのチームがこれまでにこなした試合数の中で、勝った試合と負けた試合のどちらが多いのかを示す言い方です。
例えば「借金が6」であれば、勝った試合よりも負けた試合のほうが6つ多いということ。「貯金が9」であれば、たいぶ勝った試合の方が多いですね。
リーグ内ではどこかが勝てば必ずどこかは負けるわけで、6チーム全てに貯金があるという状況にはありえません。貯金が多いチームがあれば、その裏には必ず、借金を抱えるチームがあります。
そんな具合で、貯金(または借金)がどのくらいあるかというのを戦況の目安にしているというわけです。
DH(指名打者)
パ・リーグで、ピッチャーの代わりに打席に入る打者のこと。セ・リーグにはいません。※関連記事→基本ルール編『ピッチャーは打席に入る?』
デッドボール(死球)
日本で野球が本格的に始まったのは戦前・戦後あたりですから、野球用語には滅茶苦茶な英語が数多くまかり通っていたりします。デッドボールもそのひとつ。
何しろ「死んだ球」ですからね(笑)
英語では「Hit by pitch」と言うそうですが、意味は、ピッチャーの投球がバッターの体に当たってしまうことです。
こうなるとフォアボールと同等のことが起こります。ピッチャーへのペナルティとして、当てられたバッターは即、一塁へ歩いて出ることができるんですね。無事ならば。
当たりどころが悪ければ選手交代ということも起こり得ますが、そこまでの事態はなかなかないように思います。
昭和の時代には、当たってないのに当たったかのような演技をしてみたり、当てられた外国人バッターが怒って乱闘になったりと、「デッドボール=波乱含み」というイメージですが、最近ではそこまでドラマ性は高くないようです。
盗塁(スチール)
野球は、陣取りゲームならぬ“塁取りゲーム”です。ボールが先に着くかランナーの足が先に着くか、早く着いたほうが陣地の所有者になります。(※タッチアウトは除く)
ということで、一塁にいるランナーが二塁に渡るためには、ボールが二塁に送り届けられるよりも速く二塁ベースを踏む必要があります。
しかし、進塁したいからといってイチかバチかで闇雲に走って死んでしまっては元も子もありませんから、通常は味方のバッターがファウル以外の何かを打った隙に走りますよね。ボールがすぐには戻って来ないことが分かっていたほうが安全ですから。
ところがそこを大胆にも、ピッチャーが投球している間に隙を突いて走るという技が成功することがあります。それが「盗塁」。
中には盗塁が得意な選手もいますので、そんな選手が塁に出ているときはピッチャーも注意して、しきりに「牽制球」を投げたりします。
『打率』の項目で出てきた「首位打者」のように、盗塁にも「最多盗塁(盗塁王)」というタイトルがあり、2019年はセ・リーグは阪神の近本光司選手(36回)が、パ・リーグは西武の金子侑司選手(41回)がそれぞれ受賞しています。
な行
抜けたー!
「あ行」に出てきた『打ち上げたー!』の仲間です。が、こちらは実況アナウンサーだけでなく、観戦しているファン自身も口にすることの多い言葉だと思います。
何がどこを抜けてどうなることなのかというと、バッターの打球が野手の守備範囲網を抜けてグラウンドに落ちること、です。
グラウンドに落ちずに(バウンドせずに)野手に捕られてしまえば即アウトとなるところを、打球が一度でも地面に落ちれば「ヒット」になりますので、“抜ける”かどうかは敵にも味方にも大問題。
ゆえに、つい大きな声で叫んでしまうんですね。
ちなみに、野手がフライを捕り損ねてヒット扱いになったときは「抜けた」とは言いません。
中継ぎ
試合の始めに投げる投手は「先発」、試合の最後に投げる投手は「抑え(おさえ)」。そして、先発と抑えの間に投げるのが「中継ぎ」の投手です。
中継ぎ投手は1人だけとは限らず、多いときは3人も4人も出てきてリレーするときもあります。(逆に1人もいないときもあるかもしれませんが。)
なぜそんなに代えるのかというと、まずは、単純にそのピッチャーの調子が悪く、「このまま投げさせればフォアボール出しまくりそうだな…」とか「相手にカポーンと打たれて失点しそうだな…」と監督が判断したとき。
こんなときは観客の方も「あー、いかーん、ピッチャー代えろー!」と野次ったりしているものです(笑)
他にも、打者との相性で交代させることもあります。例えば、次の打者が右打ちなのか左打ちなのか、過去の対戦成績はどうか、どんな球種に弱いのか、など。
短く集中して投げてほしいとき、明日も出てほしいから無理させたくないとき、などもあるようですよ。
控えの投手の数にも限りがありますし、そのあたりの“継投プラン”は、監督の力の見せどころといえるでしょう。
は行
バッテリー
ピッチャー(投手)とキャッチャー(捕手)のコンビのことです。関連項目→基本ルール編『守備のポジション』
ピッチャー返し
バッターの打った球が、真正面のピッチャーの方に飛ぶこと、またはその打球のこと。
もちろん打者はボールを強く遠くに飛ばそうとして打っていますので、飛んでくる球のスピードは速く、勢いもあり……当たったらどうなるか、野球をしたことがなくても想像はできますよね。
最近では、ヤンキースの田中マー君の頭にピッチャー返しが直撃し、脳振とうを起こすというアクシデントがありました。(当記事を作成しているのは2020年7月です。)
また、2019年6月には日ハム・上沢投手の膝をピッチャー返しの打球が直撃し、お皿が割れてしまうという大怪我に。一年後の今、ようやく復帰&一軍のマウンドに登板する様子も見られるようになりました。
こういったピッチャー返しは、ただただピッチャーを襲うだけではなく、もちろんこの球を瞬時にピッチャーが捕球できれば即バッターアウトにすることができます。その場合は「ピッチャーライナー」といって、大変かっこいいシーンとなるのですが、無理して怪我だけはしないでほしいものですね。
ヒット
基本ルール編の『打球の種類』の章をご覧ください。
フォアボール
ピッチャーが「ボール」を3回投げると、カウントボードは下のようになります。(※「ボール」についての説明はウントボード編『B、S、Oの意味』にあります)
ボールがあと1つ増えると「4ボール(フォアボール)」。そうなれば、バッターは一塁へ歩いて出ることができます。
結果的にはシングルヒットを打ったの(打たれたの)と同じことになってしまいますので、守備チームからしたら好ましくないことなのですが、中にはわざとフォアボールを出して“歩かせる”こともあるようですよ。※関連項目→『敬遠』
バッター側からすると、ツーベースヒット以上を打つチャンスを奪われることにはなりますが、確実に出塁するという意味では、ボールを見極めてフォアボールをとることも大事な“攻撃”となります。
フルカウント
カウントボード編の『フルカウント』の章をご覧ください。
ブルペン
先発投手、リリーフ投手の話は既に出てきましたよね。
先発投手は試合開始とともにマウンドに立つわけですが、リリーフ(継投)の投手たちは、出番が来るまではどう過ごすのでしょうか。
もちろん、ベンチに座ってじっと試合を見ているわけではありません。監督から「行くぞ!」とお呼びがかかるまでは、「ブルペン」というスペースで投球練習をしているのです。
リリーフ選手たちが出番までの間に投球練習をしたり、心の準備をしたりする場所、それがブルペン。
このブルペンのある場所は球場によって違い、例えば福岡PayPayドームでは地下にあり、西武のメットライフではグラウンド脇の見えるところにあります。
どちらの環境の方がより集中できるかは、その投手の性格・性質にもよるんでしょうね。個人的には、地上にあるブルペンではファウルボールが飛んで来るのが面倒くさそうだなぁと思ったりします(笑)
防御率
私自身、分かりそうで分からずにモヤモヤしている「防御率」。
『打率』の項目のときと同じく、NPB(日本野球機構)の公式サイトをチェックして見ると、
防御率 = 自責点 × 9 ÷ 投球回数
防御率とは、その投手が9イニング(1試合)を投げたとしたら何点に抑えられるかを示す指標です。
その基準となるのが自責点で、自責点とは失策や捕逸などが絡まない、投手が責任を負わなければならない失点のことです。
防御率が1点台の投手とは9イニングあたり自責点を2点未満に抑えているということになります。
NPB公式サイト「記録の計算方法」より
特に数式の部分は、細かく考え出すと迷子になってしまいますので、一文目だけにフォーカスしましょう。
すると、防御率というのは、ピッチャーが毎試合完投したとして、1試合ごとに平均何点を相手チームに取られたか、という割合のことであるということが分かりました。
2019年シーズンの例でいくと、パ・リーグの1位だったオリックスの山本由伸投手の防御率は「1.95」、セ・リーグで1位だった中日の大野雄大選手は「2.58」でした。(出典:NPB公式サイト「シーズン成績」)
防御率の高い投手の多いチームが優勝しているかというと、そうとも限らないのが野球の面白いところですね。
本塁打
「本塁打(ほんるいだ)」という言い方は観戦初心者にはあまり馴染みのない言葉ですが、何の事はない、「ホームラン」のことです。
打った選手自身が各塁を一巡りし、確実にホームベース(本塁)に帰ってくることができる“一発”ですね。
「ホーマー」という言い方もよく聞きますので、Vocabulary.com(英語サイト)で調べてみると、「Homer is short for home run」(ホーマーはホームランの略です)と書いてありました。
ということで、本塁打、ホームラン、ホーマー、HR、どれも同じ意味となるようです。
シーズンで一番多くホームランを打った打者には「最多本塁打(本塁打王)」というタイトルが与えられ、2019年は山川選手(西武)とソト選手(DeNA)が「43本」でそれぞれ受賞しました。(出典:NPB公式「シーズン成績」)
ボールカウント
ボールカウントについては、【観戦歴3年の女子による入門手引き②】で特集しています☺ ↓
ま行
マジック
「マジック」は、もうすぐリーグ優勝チームが決まるか!? という時期(例年は9月)になると頻繁に耳に入ってくる言葉です。セットで「自力優勝」という言葉も聞くかもしれません。
ご存じの通り日本のプロ野球には「セ」と「パ」の2つのリーグがあり、各リーグとも6チーム間で順繰りに戦いながら順位争いをしていますよね。
自分が勝ち続ければ上位にいけるのはもちろんのこと、他チーム同士の勝ち負けもまた、自分の順位変動に影響することになります。シーズン終盤にもなってくると、その度合いはさらに増すわけです。
ここで登場するのが「自力優勝」。他チームの他試合での負けに助けられることなく、自分の勝利だけで優勝できる状態のことを言います。
これが逆に「自力優勝の可能性がなくなった」と言えば、自チームがいくら残りの試合を全勝したとしても、他チームが他試合で負けてくれなければ優勝できないということ。
そして「マジックナンバー」というのは、リーグ内で自力優勝できるチームが1チームだけになったときに“点灯”するナンバーです。略して「マジック」といいます。
例えば「マジック7」であれば、今後の他5チームの勝敗に関わらず、自分さえ7試合を勝てばリーグ優勝が確定するということです。
マジックが点灯したからといって必ずしもそのチームが優勝するとは言い切れませんが、「優勝は半分決まったようなもの」と言っても過言ではないかもしれません。
猛打賞
「猛打賞」というのは、一選手が1試合で3安打以上を放ったときの「よく打ちましたで賞」です。
野球をまともに観戦し始めたばかりの頃は「モウダショウ」の字面が頭に浮かばずに、何のことだか皆目見当がつかなかったものですが、漢字を見ると納得しますよね。
Wikipediaによると、アメリカのメジャーリーグにはない日本独自の制度なんだとか。
達成した選手はスポンサー企業から何らかの賞品を貰える、というのが通例でしたが、近年は不景気もあって「特に賞品はなし」ということもあるようです。
ら行
ライナー
基本ルール編の『打球の種類』の章をご覧ください。
ランニングホームラン
「ホームラン」はグラウンドのフェンスの外まで飛んだ打球のことですが、「ランニングホームラン」は、フェンスは越えません。ということは、打球の種類としては「ヒット」。
「ヒット」でありながら、打った本人がホームベースに帰って来ることができたとき、それをランニングホームランと呼びます。超特大ヒット、ということですね!
このときの公式記録は「ホームラン」となります。
ただし、相手のエラーで送球がもたついたことによる帰塁であれば、そのときの記録はただの「ヒット」となるようです。
リリーフ(継投)
「リリーフ」とは、先発投手の降板後に、他の投手たちが引き継いで投げることです。「継投(けいとう)」ともいいます。
この投手たちは総称して「リリーフ投手」と呼ばれ、中盤に投げる「中継ぎ投手」と、終盤で試合を締める「抑えの投手(クローザー・守護神)」とがいます。
おわりに
以上、プロ野球観戦歴3年の私が、師匠とネットの力を借りつつ、総力を挙げて作成した「初心者のためのプロ野球用語集」をお送りいたしました。
一記事にしてはずいぶんな長さになってしまいましたが、ここまで目を通していただいた方、本当におつかれさまでした!
もしこれまでの3記事(基本ルール編、カウントボード編、そして当記事)を全てお読み下さったならば、胸を張って「脱初心者!」と言っていいレベルなのではないかと私は思います!
なぜなら、これらの記事には今の私自身の全知識が詰まっていると言っても過言ではなく、そして今の私は、子どもの頃から野球を観戦し続けてきたアラセブの母の野球談議や、テレビの野球の深掘り番組にもそれなりについていけるからです。
「あれ載ってなかったな」という言葉もあったかもしれませんが、いくつかは、疑問を晴らしたり知識を整理したりするのにお役に立てたならば嬉しいです☺
次回は、自分自身も知りたい「ピッチャーの投球の種類」についてまとめてみたいと思っておりますので、また機会がありましたら、どうぞお付き合いくださいませ。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!
ではまた。 Polly(2020.7.14)