【2020.4.16 世界のニュース翻訳】BBCトラベルより「アフターコロナの世界を持続可能にするために」

こんにちは! 「旅と自然を楽しむ」をテーマとした情報雑記ブログ、「しぜんfan」のPollyです。アラフォー福岡市民です。

これまでの人生、海外に目を向けて暮らした時期もあったこともあり、「世界で起きていること」や「世界の視点へのアンテナもなくしたくない、ということで、今年(2020年)に入ってからこの「世界のニュース翻訳」というコーナーを立ち上げました。

が、長いことサボっていました(笑)

言い訳をひとつ挙げるならば、それはやはり「新型コロナ(Covid-19)」。コロナのおかげで「観光」や「自然」に関する記事がぐっと減ってしまいました。どこもかしこもコロナ、コロナ。

しかし最近は、「アフターコロナ」に目を向けた話も聞かれるようになってきて、それがなかなか興味深いんですよね。英語圏では「post-Covid 19」というterm(ターム)が使われているようです。

post-の意味は?

「(時間的に)~の後の、次の~、~が無関係になった後の」という意味。出典:「英辞郎

そこで今回は、イギリス「BBC」のウェブサイトで見つけた、アフターコロナと地球環境についてのトピックを日本語訳してみたいと思います!

英検準一級のしがない一般人によるアマチュア翻訳ですが、エッセンスは汲み取ってあると思いますので、アイデアを深める1ピースとして、ぜひお付き合いいただければ幸いです。



元記事について

題材となるのはこちら、黄色で囲んだ記事です。

トップページより

2020年4月17日の朝時点で、トップページの下の方「Around the BBC」のセクションにありました。

タイトルは、「How can we be sustainable post-Covid 19?」。

サステイナブルsustainableとは

持続可能であること。近年では特に環境問題に関連して使われることが多く、「地球環境に悪影響を与えることなく持続していける」という意味で用いられます。

タイトルは、そのまま日本語に訳するのはちょっと無理がありますので、勝手ながら意訳をさせていただくと、「アフターコロナの世界を持続可能にするために私たちにできること」という感じでしょうか。

リード文には、「各国における不要不急の移動禁止措置や完全なるロックダウンにより、人類がその活動を止めたとき、地球に何が起きるのか。私たちは今、それを目撃することができる」とあります。

今回のコロナ危機が、これからの持続可能な世界の構築への大きなきっかけになるのではないか…という話は、今こそ大いに取り上げられるべき話題ですよね。さすがBBC。

ライターは「Chloe Berge」さんという女性の方で、記事アップ時間は「16 April 2020」です。

それでは、早速読み進めていきましょう!(※記事、長いです。)

記事の内容は、若干の意訳や補足を除いてはほぼ原文通りに訳しています。段落分けもそのままですが、私が個人的に重要だと思った箇所は、太字やアンダーラインでアレンジしています。また、写真はすべて元記事から引用しています。

アフターコロナの世界を私たちの手で持続可能に:記事本文

地球環境と旅行の関係

旅行ジャーナリストとして、また、この星の未来について深く関心を寄せる一個人として、飛行機移動へのモラル・ジレンマは、私が常に直面していることです。旅行の数もずいぶん減らしましたし、旅行する際もカーボン・オフセットを購入するようにし、環境問題に関する記事には可能な限り力を注いできました。しかし、これらの取り組みによる効果を計るのは難しいものです。

カーボン・オフセットcarbon offsetとは

日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。出典:環境省公式サイト

対して、「世界中の人が家にいるのは、地球にとってはよいことであることは明確です。コロナヴァイラス自体に何一ついいことはありませんが、「不要不急の旅行禁止」や「ロックダウン」などにより、我々が“不在”であることが地球にどう影響するのか、今はじめてそれを目撃することができています。

NASAによって発表された衛星画像から、「欧州宇宙機関(European Space Agency)」は、中国において経済活動が低下していた1月から2月にかけて、二酸化窒素の排出量が減っていることを検知しました。「CREA(the Centre for Research on Energy and Clean Air)」による調査結果からは、同じく中国での二酸化炭素排出量が25%減少したことが明らかになっています。(二酸化窒素・二酸化炭素は、主に化石燃料の燃焼時に発生するものです。)

「中国の都市部では、ここ数カ月で二酸化窒素量の劇的な現象が確認されている」

イタリアでの遮断期間中も、上記と似たような衛星データが国内北部での二酸化窒素排出量の低下を示しており、ヴェネツィアの住民からは、観光ボートの運行が大幅に減ったことで水路がきれいになったとの声も上がりました。

また、CREAによると、3月22日に全国的な夜間外出禁止が発令されたインドでは、大気中の二酸化窒素の一日の平均濃度が、この時期(春)としてはこれまでで最も低いレベルを記録したそうです。世界で最も大きな汚染源の一つである北アメリカの経済活動が低下すれば、同様の影響がみられることになるでしょう。

もちろん、この世界的な健康危機が温室効果ガスの排出量を減らすことへの解決策というわけではありません。しかし、旅行の在り方も含め、人間の活動がこの星に及ぼしてきた影響について省みるきっかけにはなるはずです。



不要不急な旅行の制限は、各航空会社が飛行機を地に留め、運航を大幅に削減するか、完全に停止することを意味します。運航の減少に起因する環境的な変化についてのデータはまだ発表されていませんが、大きな影響があると予想されます。「LUCSUS(Lund University Centre for Sustainability Studies in Sweden)」の研究者たちがブリティッシュコロンビア大学と協力して行った2017年の研究によると、温室効果ガスの排出量を大量に手早くカットするために個人レベルで出来ることは3つあります。飛行機による移動を減らすこと、そして、肉の消費を減らすことです。

学術誌「Nature Climate Change」に掲載された2018年の論文によると、観光旅行によって排出される温室効果ガスの総計は世界全体の8%を占め、そのうちの大半は飛行機移動によるものであるとのこと。『今のところ、私たちができる中で一番効果のある行動は、飛行機に乗ることを止めること、もしくは減らすことです』とLUCSUSのサステイナビリティ学者であるKimberly Nicholas氏は話します。『ニューヨークからロンドンへ一往復することは、(個人のカーボン・フットプリントとしては)2年間肉を食べることと同じです』。

カーボン・フットプリントcarbon footprintとは

個人や団体、企業などが生活・活動していく上で排出する、温室効果ガスの量や環境へかける負荷のこと。

このような驚くべき統計事実、また、Covid-19に打ち勝つために世界中が家に閉じこもっている間に目の当たりにする環境回復の兆候を併せて考慮すると、次のような問題が提起されるべきです。「事態が終息し、再び自由に空を移動できるようになったとき、私たちはどうするべきか」。

『健全な気候と航空業界の平常運営は、決して相容れないものです』(Nicholas氏)。

もし私たちが「地球温暖化を産業革命前の1.5℃までにとどめる」というパリ協定の目標を2030年までに達成したいならば、自分たちの移動の在り方を大きく変える必要があります。航空業界や運送業界が動かねばならない部分も少なからずあるでしょう。

いくつかの航空会社は、バイオ燃料や電動飛行機といった革新的な研究を進めています。『より効率よく飛べるよう飛行機を再設計することで、燃料経済性はもっと上げることができます』。そう話すのは、カリフォルニア大学デービス校のThe Policy Institute for Energy, Environment and the Economy(エネルギー・環境・経済に関する政策研究所)副所長のColin Murphy氏。『もし廃油からバイオ燃料を作れば、従来の石油に比べ、一般的には60%ほど温室効果ガスを削減することができます』と同氏は続けます。しかしながら、新たにバイオ燃料を、有機物を利用した再生可能な燃料を作るには広大な土地が必要である、という問題点もあります。加えて、電動飛行機については、バッテリーが限られることから長距離飛行に用いるのは不可能、というのが現状です。

「バイオ燃料は解決策にはなり得るが、私たちにはそれに割く十分な土地がない」

「オーバーツーリズム」は「過剰消費」と同じ

たとえこれらの技術改革が成功したとしても、私たちは個人レベルで旅行へのアプローチを見直すべきです。ちょうど今、この星が一息ついているであろうこの間、私たちも内省する機会を与えられたのです。コロナウィルス・パンデミックは私たちに、いかに人々やシステム、組織がこの世界で互いに繋がっているかを認識させました。この“気付き”は、ウイルスがどれほど素早く世界中に拡散するかという面では喜ばしいものではありませんでしたが、私たちがいかに団結し、個人として集合財(※経済学用語、公共財と似た意味)のために行動することができるか、ということを示す機会にもなりました。私たちは、お年寄りや免疫力の弱い人々を守るために「ソーシャル・ディスタンスをとる」ということを身をもって学び、バルコニーから医療従事者を応援し、SNSでは「#stayhome」でメッセージを分かち合ったのです。

Covid-19を克服したとき、私たちはもう一度、一歩引いた視点から世界を見、個人個人でこの星のために行動を起こす必要があります。コロナヴァイラスが私たちの生活の速度を緩めたように、私たちも旅行に対し、もっとスローで思慮深いアプローチをとるべきです。訪れた旅先に暮らす人々や文化、自然の美しさなどを理解するために時間をかけてこそ得られる「土地との本当の繋がり」というものがあります。これは、“空港から空港へ”というような浅い旅程や、たった2週間でその国中を飛び回るような旅の仕方から得られるものではありません。(多くの巨大クルーズ船が波間に残していくような“環境漂流物”を生み出すことなく旅行することもできるはずです。)年に5~6回の短い旅行の代わりに、年に一度の長い旅行に出かけるという人が増えれば、私たちのカーボン・フットプリントを大幅に減らすことになるでしょう。

「Adventure Travel Trade Association」のCEOであり、サステイナブル・トラベル(持続可能な旅行)の提唱者であるShannon Stowell氏は、『オーバーツーリズムは過剰消費と同じことです』と述べます。『人々が旅先のことをよりよく知り、オーバーツーリズムが引き起こす過密や環境汚染、野生動物の生息地の消失といった問題にも効果的であるという点で、旅行の質を上げるために旅行の数が減るのはよいことです』。



カーボン・オフセット、するとしないとでは大違い

遠くばかりに目を向けず、もっと近場で楽しむことで環境負荷を緩和することもできます。『実のところ、これが一番効果的でしょう』とLUCSUSのサステイナビリティ学者・Nicholas氏。『かつて私は頻繁に飛行機を利用していました。しかし、旅の持つ目新しさや冒険的な経験を味わう別の方法を見つけたのです。それは、スロー・トラベルセルフ・パワード・トラベル(自分の足を使った旅行)です』。メキシコに行く代わりに地元のビーチに行き、炭素排出量を使わずにとっておくという感じでしょうか。

それでも飛行機を利用する際、私たちはカーボン・オフセットを購入することで“埋め合わせ”をすることができます。カリフォルニア大学デービス校のMurphy氏は、『カーボン・オフセットは(環境保護活動の)助けになるし、確実に“針を動かし”ます』と話します。『カーボン・オフセットを買ったからといって、自分が排出した温室効果ガスをなかったことにはできませんが、助けにはなります』。どの種類のオフセットを購入するかを検討する際に重要なのは、後から追加されたプロジェクトに寄付するということです。例えばあなたが森林伐採から土地を守るという案件に寄付する場合、それが前々から存在したようなプロジェクトである場合、どのみち保護されることが既に決まっている可能性もあるからです。

また、飛行機の利用の仕方も大切です。ビジネス・クラスのエクストラ・レッグルームは魅力的ですが、それらのスペースを購入することは搭乗者数を減らすことに繋がり、ひいてはあなたのカーボン・フットプリントを増加させることになるのです。『乗客が密集すればするほど、一人当たりの排出量は少なくなります』とMurphy氏。また、同じくデービス校政策研究所のAustin Brown所長は、『政策的なレベルでは、私たちは自分の選択が環境へ及ぼす実質的な影響を知る必要がありますし、それらの影響に見合った代償も必要です』と述べました。『例えば、ファーストクラスをもっと高くするとか』。(補足:ファーストクラスの値段をエコノミー・チケットを安くするための補助金として使うことで、全体としてのコストを削減してより多くの人が飛べるようにすることができる ※訳、ちょっとあやふやです

そして目的地に降り立ったとき、その土地の文化や環境を尊重することでフットプリントを減らすよう努めます。『初めての場所を旅するとき、あなたは彼らのホームを訪れた“お客さん”です』と話すのは、「Adventure Travel Trade Association」のCEO・Stowell氏。ゲストとしてその土地を尊重するということの例には、サステイナブルな滞在先やアクティビティを選び、環境に優しい乗り物で観光することなどが挙げられます。観光的な自然スポットに詳しい地元の旅行会社を利用することで、持続可能性と地域経済と、両方へ貢献することにもなるでしょう。

「世界に出ることは、地球環境保護についての世界的な視点を得る機会となる」

旅行や観光で成り立っている場所は世界中にある

グリーンウォッシングなエコ・ツーリズムを見分けるためには、旅行者たちは、サステイナブルなプランを透明性を持って掲げている旅行会社を選ぶべきです。『どこかの旅行会社のウェブサイトで、サステイナブルな観光プランを見つけたとして、もしその会社が今後12~48か月後にインパクト・レポート(環境影響報告書)を発表したならば、その会社は“本物”だと判断できます』と話すのは、「TreadRight」でサステイナビリティ責任者を務めるShannon Guihan氏です。“本物”であれば、利益を追求するよりも、旅行者が環境に優しい行動や選択をとるための手引きとなるチェックリスト作成に力を入れたりしているものです。

グリーンウォッシング greenwashingとは

上辺はいかにも環境に配慮しているように見せかけているが、中身はそうではないこと。企業や団体が、環境への影響を最小限にとどめることもそっちのけで、配慮時間やお金をかけて“環境にやさしい”ことを宣伝し、自身を売り込もうとすることなど。参考:「Business News Daily>What Is Greenwashing?

世界に旅行は必要です』とGuihan氏。『観光は世界で最も大きな産業のひとつであり、生き残るために旅行や観光に頼っている地域は世界中にあります』。

観光経済の話は置いておいても、旅行は、私たちにいい影響・効果を与えてくれる可能性に満ちています。有意義に旅をすれば、異文化を知ることができ、自分の住む世界の外にいる人々への共感を育むこともできます。旅行することで私たちは、地球の未来を守らなければならないという世界的な視点を持つこともできるのです。

私は、これまでジャーナリストとして活動してきて、いくつもの素晴らしい経験をしました。ヨルダンの砂漠の真ん中でベドウィン族とミントティーを飲んだり、ルワンダの深いジャングルの中でマウンテンゴリラと見つめ合ったり、灼熱の太陽の下、インドの博物学者とともにトラを追ったこともあります。これらの経験から私は、この美しい世界が広大で、多様で、無限であることを深く認識し、守りたいと強く願うようになりました。

「自分の足を使ったスローな旅により、環境負荷を抑えることができる」

外に出る機会が一時的に奪われた今、それがどんなに贅沢なことだったか、これほど実感したことはありません。『この危機は、旅行への考え方を新たにする機会となるかもしれません』(Stowell氏)。『旅行することは権利ではなく、特権”なのです』。(※「権利:right」は当然許されたもの、「特権:privilege」は“許される状況に立てればラッキー”という付与的なもの

旅行なしの世界は考えられませんが、もし私たちが旅行の仕方を変えなければ、いつかその行先もすべて失われてしまうことでしょう。

おわりに

以上、2020年4月16日の「BBC Travel」からの記事、「How can we be sustainable post-Covid 19?」の日本語訳をお送りいたしました。

何か、新たな“気付き”や共感する部分があったでしょうか。

個人的には、各専門家からの声や筆者の経験・想いも織り交ぜつつの記事だったため、非常に説得力のある内容だったと感じましたし、「日本はヨーロッパに比べて環境への意識がまだまだ低い」ということも痛感させられました。

加えて、「短期間に詰め込む」という日本の旅行スタイル(5日間周遊!とか)は、本当の意味で“旅を楽しむ”というよりは、“行ったという事実に満足したいという過剰消費型以外の何物でもないな…とあらため思ったり。

例えば、移動中のバスの中で常に寝てるなんて、その土地や旅そのものに対して「No appreciation」もいいとこですよね。

これにはまず、日本社会の「休暇」に対する認識がもっと変わり、人々が胸を張って長期休暇をとりやすい環境が育つ必要があると思います。

また、個人レベルでも、旅行・観光愛好家としては自分の旅の仕方について考えさせられることも多く…。本当に、この機会に、今後自分のとるべき行動について考えたいと思いましたし、一人一人がそれをすれば、すごく大きなパワーになるんじゃないかと思います。

この外出自粛中、家で考えるにはとてもいいアイデアをたくさんもらいました。ありがとう、BBCとクロエさん。

そしてみなさんも、最後まで当記事にお付き合いいただき、どうもありがとうございました!

何はともあれ、早くまた旅行を楽しめる日々が戻ってくるといいですね☺

Polly