【観た人向け】映画『追憶の森』の感想&青木ヶ原樹海ハイキング体験記

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青木ヶ原樹海ハイキングミニ体験記

この映画が公開された翌年には、同じく青木ヶ原樹海を舞台とした『JUKAI -樹海-』というアメリカ映画も公開されており、国内でもこの森が “自殺の名所” としてすいぶん注目されましたよね。

私が人生で初めて青木ヶ原を訪れたきっかけも残念ながらそれらの注目によるもので、訪れたタイミングは図らずも『追憶の森』公開直後の2015年6月でした。

実際に訪れてみると、地元では富士山の世界文化遺産登録の方で涌いており、なんだかホッとしたのを覚えています。

実は、映画の撮影は樹海ではなくアメリカのどこだかの森で行われたそうで、それはちょっとがっかりポイントなんですが、ここからは記事の第二部として、実際の樹海の様子をご紹介してみたいと思います。

私が散策したのはの外れのほうですが、それでも雰囲気は十分に出ていますよ。



ルートのおおまかな位置

青木ヶ原樹海にはいくつか散策コースがあり、野鳥観察や洞穴見学も含めると、半日は森の中で過ごすことができます。

私の場合は時間の都合もあり、「西湖野鳥の森公園」 から「富岳風穴ふがくふうけつ)」まで歩き、風穴を見学してフィニッシュするという短めのコースにしました。

詳しいルートは覚えていませんが、おそらく下の赤ラインのようなイメージです。

映画の舞台として設定されたのは、もっと富士山に近い側でしょうかね。

西湖野鳥の森公園から散策路へ

西湖野鳥の森公園では思いがけずにルピナスの群生も見られ、自然に囲まれた気持ちの良い場所でした。

西湖野鳥の森公園
西湖野鳥の森公園

この日はあいにく雲が多かったのですが、天気が良ければ富士山も望めるそうです。

公園の脇のボロボロの看板に従い、「風穴」を目指して森の中へ。

西湖野鳥の森公園から青木ヶ原樹海散策路に入ってすぐの様子

森に入ったとたん、一気に明度がトーンダウンします。

青木ヶ原樹海散策路から見上げた木々の様子

うっそうとした森の中に繁る植物には私の見慣れないものも多く、苔むした岩々もはびこる木の根も、独特の雰囲気を醸し出しています。

テレビで見た森に自分がいるんだ、と思うと不思議な感覚になりました。

青木ヶ原樹海散策路の様子
青木ヶ原樹海散策路の様子、地表にはびこる木の根
青木ヶ原樹海散策路の様子、森の中の木と木の根

森に入って30分ほどで、ひょっこり看板が出てきました。風穴まで1.8kmとあります。そして、ここを過ぎたあたりから、道は次第にずいぶんと散策路らしい散策路に。

青木ヶ原樹海

先ほどの看板地点から歩くことさらに約30分。森の中はあいかわらずうっそうとしていますが、少しずつ車の走る音が近くなってきました。遊歩道に並行して車道があるようです。

映画のような「ザ・樹海」の雰囲気を感じるには、車道はかなり場違いですので、安心なような残念なような…。

ところで、森の中には時折すごく変わった木も見られました。何の種類なのか皆目見当が付きませんが、面白いです。

そうこうしているうちに…

国道139号線の青木ヶ原樹海の看板

あれっ!車道に出ちゃいました。国道139号線のようです。

せっかくなので、「青木ヶ原樹海」の看板を撮影。

国道139号線の青木ヶ原樹海の看板

地元の人にはなんてことない看板でしょうけど、旅行者にはグッとくるものがありますね。

目的地の「富岳風穴」まではすぐのようですので、このまましばし車道沿いを歩きます。

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富岳風穴の様子

森の駅風穴と富岳風穴への入り口

先ほどの看板から5分ほどで風穴入口に到着。「森の駅 風穴」には軽食やおみやげが置いてあり、見学の前後に立ち寄るお客さんも多そうでした。

風穴まではまた少しだけ森の中を歩くのですが、その途中に樹海に関するいい説明板がありましたよ。

森の駅風穴から富岳風穴までの遊歩道にある、樹海についての説明版

なんと、森の中に土という土はないのですね。木々は下へ下へと根を伸ばせませんので、代わりに横へ長く広がり、お互いに支え合って密生しているとのこと。

そういえば、ニュージーランド南島の険しい岩山でも同じでした。岩の上に何百年とかけて育った苔の層を土壌の代わりとし、根をお互いに絡ませ合いながら長い年月をかけて森になる。自然は偉大です。

さぁここから風穴ですが、大変暗かったため、あまり写真を撮っていません。樹海で満足したからか、訪問時の記憶も薄く…。ある分だけご紹介しますね。

ちなみにこの富岳洞穴は、富士山の溶岩流が生み出した自然洞窟なんだそうです。

富岳風穴内へ降りる階段
富岳風穴内の氷柱

中はさすがに肌寒かったよう覚えがあります。

天然冷蔵庫の付近には繭玉を貯蔵する一角もあり、養蚕がさかんだった大正初期から昭和初期まで実際に利用されていたそうです。昔から土地に住んできた人々の知恵、興味深いです。

降りて10分ほどで見学を終え、外に出ました。

富岳風穴から地上への出口の階段

私の青木ヶ原樹海ハイキングはここまでです。

映画で描かれていたような、また、巷で噂になっているような「入ったら出られない」「動物はほとんど生息していない」というイメージでは全然なく、純粋に “富士山麓の自然が生み出した、貴重で美しい原生林” でした。バスの中からは鹿の親子も見かけましたよ。

噴火によってできた土のない広大な溶岩台地は、ある意味ではを連想するものかもしれず、反対に、その地で徐々に蓄積していった有機物や苔は、森や生き物たちを生かすを表すのではないかと考えると、映画で描かれた「生と死の境目というコンセプトにもぴったりマッチしますね。

機会があればまたゆっくり、今度はもっと森の深いところを見てみたいなと思いました。

おわりに

以上、映画『追憶の森』をテーマに、映画のあらすじ・感想、そして青木ヶ原樹海ハイキング体験記と、二部編成でお送りいたしました。

ボリュームのある記事となってしまいましたが、最後までじっくりお付き合いいただいた方、どうもありがとうございました!

私は今まで “ロケ地訪問” にあまり興味はなかったのですが(この映画に関しては、正確にはロケ地でもありませんが)、映画の舞台を訪れてみるというのは観光のスタイルの一つなんだなと感じた今回の記事作成でした。

みなさんも、機会があれば青木ヶ原樹海にぜひ! 西湖周遊バスが便利でしたよ。

それでは☺ Polly

※記事内の写真は2015年6月当時のものです。