みなさんこんにちは!「しぜんfan」のPollyです。
この記事は、2018年8月中旬に実際に私が出かけたロードトリップをベースに、稚内エリアの自然観光スポット情報をご紹介するものです。
現地の様子や訪れた感想などを、たくさんの風景写真やガイド情報とともに2回に分けてお送りしておりまして、当記事はその後編となります。
前編からの方も後編からの方も、どうぞよろしくお願いいたします☺
目次
前編のおさらい
引き続き、旅の見どころはこちらです。
この記事でご紹介しているスポットも、地図でおさらいしましょう。★マークのあるところが、私がこのロードトリップで立ち寄った観光スポットです。

地図上の番号は巡った順で、それぞれ下のリスト番号に対応しています。
- 北緯45度通過点モニュメント(幌延町)
- 幌延ビジターセンター・下サロベツ原野(幌延町)
- ほろのべトナカイ観光牧場(幌延町)
- 大規模草地牧場(豊富町)
- サロベツ湿原センター・サロベツ原生花園(豊富町)
- 宮ノ台展望台(豊富町)
- ノシャップ岬(稚内市)
- 稚内公園(稚内市)
- 宗谷岬公園(稚内市)
- 宗谷丘陵(稚内市)
前編では「⑥宮ノ台展望台」を見た後、天候を気にしつつも、夕日の名所・ノシャップ岬まで約40kmひた走るところまで紹介しました。
後編となる今回は、「⑦ノシャップ岬」到着時からのスタートです。
では、いってみましょう!
ドライブレポート後半
⑦ノシャップ岬
豊富町から国道40号線をひた走り、やってきました稚内。ひとまず市街地を通り越し、「ノシャップ岬」の先端へ。
「ノシャップ」とはまた、変わった名前ですね。稚内観光協会のウェブサイトによると、アイヌ語の「ノッ・シャム」が語源となっており、 “岬が顎のように突き出たところ”、“波の砕ける場所” という意味があるそうです。
天候次第では利尻・礼文の両島に加え、サハリンの島影も望むことができるそう。北にやって来たぞ! って感じですね。
このノシャップ岬で夕日を見るベストスポットは、「恵山泊漁港公園」です。すぐ隣りには「ノシャップ寒流水族館」があり、合わせて人気の観光スポットとなっているようです。私が到着した17時半ごろも、日本人・外国人問わず何人もの人々が夕日スタンバイをしていましたよ。
地元ではお決まりのデートコースだったりするのかもしれませんね。
この日の日没は確か18:37の予定でしたので、空が夕日色になるまでには少し待ち時間があります。早朝からの長旅の疲れがだいぶ出てきましたので、車内で30分ほど休憩することに。
岬の駐車場にはトイレもあって便利でした。
そしておよそ30分後。

だいぶそれっぽくなってきました。
水平線の上に何か見えるかどうか目を凝らしてみると…

遠くに島影が。サハリンでしょうか! それとも礼文島? 方角からして、礼文な気がします。
雲が多くて何も見えないと思っていただけに、何か見えてラッキーです。みなさんが行くときは、利尻富士やサハリンが見える天気だといいですね!


今日の空模様では、これが限界でしょう。これだけ見れただけでも嬉しいです。
住所:北海道稚内市ノシャップ2丁目
入場料:無料
駐車場:あり/無料
滞在時間:約40分
ここで時刻は18:03分。日が完全に沈みきってしまう前に、どうしても行きたい場所があります。それは、稚内市内を一望できるという名所「稚内公園」と、公園内にある「開基百年記念塔」という展望施設。
海抜170mの丘の上に、地上70mに上がれる展望台があるとあっては、ぜひ行ってみたい!
ということで、稚内中心部にある稚内公園まで約5.5km、とにかく車を飛ばしてみることにします。
⑧稚内公園
稚内公園は、稚内駅すぐ裏手の丘に広がる45.2haの広大な公園です。桜の名所でもあるそうです。
ところでこの「ha」って、いまいちピンと来ないのは私だけでしょうか。このタイミングでなんですが、ちょっと調べてみました。
「1ha=100m×100mの広さ」なので、「45ha」は「4,500m×4,500m」ということですね。ざっくり言うと、一辺が4.5kmもあるということ。すごい広いじゃないですか! → 失礼しました! 計算し直したところそんなに広くありませんで、正方形とするなら一辺は672mほどのようでした…(2019.12.3追記)
そんな広大な稚内公園の中には、『南極物語』のタロとジロで有名な「南極観測樺太犬訓練記念碑」、樺太島民慰霊碑「氷雪の門」、資料館「北方記念館」と展望台からなる「開基百年記念塔」 などがあります。
公園内は車で移動できるように車道が整備されており、要所ごとに駐車場もあるのでとても便利ですが、一方通行エリアもありますので、その点だけは少々注意が必要です。
まずは樺太犬訓練記念碑や氷雪の門周辺からの景色を見てみましょう。

稚内市内の観光地として有名な「北防波堤ドーム」も「宗谷岬」も見えますし、眺めは最高です! できることなら、やはりもっと明るいうちに来られたほうが良かったですね。
この写真の時点で18時31分ですから、もうお日様は雲の下に沈んでしまっています。
もう展望台に上るには遅いかもしれませんが、せっかくなので開基百年記念塔まで行ってみます。車で移動。

こちらがその塔です。広々とした駐車場もばっちり備わっています。営業時間は21時までですので、一応時間も問題なし。
しかし、ここで私は気付きました。財布の中に現金がないことに。
もともと現金はあまり持ち運ばない上、さっき豊富町のセイコーマートで豊富牛乳を買ったときに小銭を使い果たしたのでした…。50円も残っていません。
記念塔の近代化に一縷の望みを託しつつ、館内に入って受付のおじさまに聞いてみます。
私:「こんばんは。あの、クレジットカード、使えますか…?」
おじさま:「クレ…いやぁ、こんなところでは…」
ですよね。
通常400円の入館料が、18時を回って夜間料金200円になっていたにも関わらず、それすら払えずに塔を後にしたのでした。
私の経験談から、ぜひみなさんは現金最低400円を握りしめて、日が落ちる前に行ってください!
住所:稚内市宗谷村ヤムワッカナイ
開館期間:4月末~10月31日(冬期休業)
入場料:【通常】一般400円、小中学生200円、【夜間(18時~)】一般200円、小中学生100円 ※団体料金あり
駐車場:あり/無料
開館時間:【4、5、10月】9:00~17:00、【6、9月】9:00~21:00、【7、8月】8:00~21:00 ※入場は閉館の20分前まで
休館日:【4、5、10月】毎週月曜日(ただし、祝祭日の場合は翌日)、【6~9月】無休
※稚内市役所建設産業部観光交流課、株式会社稚内振興公社のウェブサイトから、2019年8月現在の情報です。
塔のことはさっぱり忘れ、最後の夕焼けを眺めつつ、本日の私の車内泊の地である「道の駅わっかない」に向かいます。
記念塔からは来た道を戻り、約10分のドライブです。

滞在時間:約30分
疲労困憊の夕暮れ
日が落ちるとともに、どっと疲れを感じます。
考えてみると、今朝は朝5時に起き、今もうすぐ夜7時ですから、活動時間14時間です。写真を撮るのも何気に疲れますしね。
2連休を使って一人で稚内を攻めると決めたときから、私はこの旅のことを“稚内チャレンジ”と呼んでいたのですが、まさにチャレンジです。
でも、こういうことも、できるうちにやっておきたいと思うんですよね。体力勝負の貧乏旅行。
この後は道の駅に車を停め、駅前のスーパーを覗き、セイコーマートで買い物をし、ご飯を食べて、ベッドを作り、トイレで支度をして8時半には就寝。
おやすみなさい。
一夜明けて…

はい、おはようございます!
時刻は5時半です。車中泊をすると、清々しく早起きですね。
顔を洗いにトイレに行くと、他にも同類の方が歯を磨いていました。道の駅泊あるあるです。
しかし、寒かった。冬用の部屋着(裏起毛)を重ね着して寝たのですが、それでも寒くて何度も目が覚めました。
8月なのに最低気温12℃って、さすがは北の北ですね。
それはそうと、なかなか良い道の駅です、「道の駅わっかない」。駅とバスターミナル、ちょっとしたショッピングモールなども一緒になった複合施設「キタカラ」の一角に入っており、道の駅感はあまりなかったです。建物自体が新しく、トイレもきれい。
1Fのセコマでクレジットカードが使えたのが、一番うれしかったかもしれない(笑)
そして、何気に“日本最北端の道の駅”でもあります。そもそも、稚内駅が鉄道最北端ですし、ここまで来るともう、最北端だらけなんでしょうけれどね。
さて今日は、宗谷岬・宗谷丘陵に行った後、札幌に戻らねばなりません。明日は仕事ですから、無茶はできません。
出発前に、忘れないうちに噂のロシア語の道路看板を撮影しておきましょう。こちらは駅前の様子。
おおーっ! 本当にロシア語が載っています。日本語、英語、ロシア語の3か国語ですね。
青看板以外でも、お店の看板がロシア語併記してあったりと、街中にはキリル文字がちょいちょい存在している様子。やはり、樺太が日本の領土だった時代の影響で、今でも行き来する人が多いのでしょうか。
夏季限定ではありますが、稚内からサハリンまでフェリーも運航しているようですし、そのあたりを詳しく調べてみるのも興味深そうです。
なにはともあれ、今のところは宗谷岬に向けてロードトリップを再開しましょう!
宗谷岬公園まで
稚内中心部から宗谷岬までは30kmちょっとの距離です。「最北端の地の碑」を激写すべく、国道238号線をひらすら海岸沿いに走ります。
ひたすら走りながらも、丘の風車や青々とした草地を見るにつけ、丘側に入りたい衝動に駆られはじめます。Googleマップを見てみると、宗谷丘陵を縦に突っ切って岬の先端に向かう道もある様子。
しかしせっかくの海岸線も捨てがたく、しばし迷った末、ラスト5.5km地点の分岐点で思い切って海岸線を離れ、丘側に右折。
すると!

坂を登った先には、すばらしい景色が広がっていました! これが「宗谷丘陵」! 草地好きの私は大興奮!
ですがここは落ち着いて、まずは引き続き宗谷岬を目指しましょう。丘陵は後からまた見れますからね。

ちなみに、車の外に出たときの服装は厚手の長そでシャツ一枚でしたが、それでちょっと肌寒いくらいの気温でした。(※この日は8月中旬です。)
丘陵地帯を縦に突っ切って、岬方向に行けるところまで行った先には「宗谷岬公園」という公園があり、そこから最北端の碑まで歩いて降りられるようですので、とりあえずは公園に向かってみることに。
⑨宗谷岬公園

公園に到着しました。まだ朝7時ですので、駐車場に車は少なめでしたが、意外と人の姿はありました。さすがは一大観光地。
想像していたよりずいぶん広い公園のようです。
展望台にありがちな、“世界各国の都市までの距離お知らせポール”もありました。
見てみると、「サハリンまで43km」、「利尻島・礼文島まで73km」、「東京まで1,106km」などのほか、各姉妹都市・友好都市までの距離も記してあります。
サハリン、近いですね。

公園の案内マップを見てみると、本当にたくさんのモニュメントが点在しています。
ロシアとの国交が悪化し始めた明治35年に旧帝国海軍が建設したという「旧海軍望楼」、日米合同で建立された慰霊碑「平和の碑」、「宗谷海域海軍戦没者慰霊碑」 、 北海道の酪農の発展を記念する「あけぼの像」、 宗谷海峡を最初に発見したフランス人ラ・ペルーズの碑などなど、この地ならではの歴史を感じるものばかり。
お目当ての最北端の碑へは、このまま奥に進めば行けるようです。
公園から坂を下り、旅館などが立ち並ぶ細い車道を抜けて海岸に出ます。そしてこちらが、噂の「日本最北端の地の碑」。


ずいぶん遠くに来たもんだ…。
大間の本州最北端に行ったときよりも、じわりとくるものがあるような、ないような。
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ちなみにこちらが、青森県・大間崎の様子(2016年5月19日撮影)です。あちらにはマグロがありますからね、勢いはありました。
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比べてこちらの稚内はというと、開拓の歴史、ロシアとの歴史、戦争の歴史など大きくて深いものがあり、北の海の締まった雰囲気もあってか、よりシリアスな空気を感じます。

最北端の碑のすぐ傍では、間宮林蔵の像が北を見つめています。間宮林蔵は、1808年に樺太に渡り、間宮海峡を発見した江戸後期の探検家です。
この日、残念ながらサハリンを目にすることはできませんでしたが、壮大な気分になる日本最北端の地でした。

道(国道238号線)を挟んで反対側には、魚介類を食べられる食事処や土産物店もありましたよ。
最北端の碑は写真を撮る観光客で賑わっているので、私が行った時間帯でも軽く順番待ちが発生していました。人を入れずに景色だけを撮りたい方は忍耐が必要かもしれません。がんばって!
ではこれで宗谷岬を後にして、宗谷丘陵に戻りたいと思います。
宗谷岬公園滞在時間:約30分
⑩ラスト!宗谷丘陵
さてここからは、楽しみにしていた「宗谷丘陵」を堪能する時間!
まずは宗谷丘陵について、簡単にご説明してみます。
- 北は宗谷岬、南は天塩川北岸まで、南北90㎞に渡って広がる丘陵地帯
- 今から約1万年前の氷河期にできた周氷河地形が広がっており、この地形が今でも顕著に見られるのは道内でも宗谷丘陵のみ
- 平成16年10月に「北海道遺産」に指定された
- 丘陵には、57基の風力発電施設がある
- 4コースある「稚内フットパス」のうちのひとつであり、丘陵の景色を楽しむことのできるウォーキングコースも設けられている
※「宗谷岬・宗谷丘陵」(稚内ブランド)、「宗谷丘陵(北海道遺産)」(稚内観光協会)を参考に作成。
ウォーキングコースがあるとのことでしたが、歩いている人は見かけず、自転車の方を数組見かけました。なだらかとはいえアップダウンの連続なので、わりと本格的な装備をした方々です。
長ーい坂を汗だくで上った後、原っぱにバイクをぽーんと寝かせて、爽やかな風に吹かれながら談笑している二人組を見て、ちょっと胸が熱くなりました。
その横を車で往く私、つまらない奴だな、と自分で思ったり。
車って、どこにでも好きに行けて便利な反面、何かいいものを逃しかねないんですよね。特に旅行のときは。
ときには旅先で車をどこかに置いて、敢えて公共交通機関や自転車での観光も織り交ぜるのが、次に目指したいロードトリップのスタイルです。
さて、美しい宗谷丘陵の風景はこちら。

美しすぎて胸が痛いです。本当に。
この後から天気が急に崩れましたので、光が差しているうちに見ることができてラッキーでした。
あたりには、東北や北海道ならどこにでもあるクマザサも健在です。クマザサの北限はもっと北ということですね。

この白い道は、その名も「白い道」と呼ばれる、3kmにおよぶ稚内の新たな名所だそうです。
農業用道路整備の際、廃棄方法に苦慮していたホタテの貝殻をアスファルトの代わりに使用してはどうか、というアイデアが生まれ、いくつかの課題を乗り越えて2011年に誕生したんだそう。(情報元:「稚内ブランド」ウェブサイト)
アスファルトより断然いいですね!
さて、時刻は午前8時。レポートでお送りする稚内エリアの旅は、この白い道で終わりです。この後は、気ままにのんびり札幌に帰ることとします。
最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました!
旅のまとめ
2回に渡ってお送りしてきました「夏の北緯45度以北ドライブ」、少しでも現地の雰囲気を感じてお楽しみいただけましたか?
一度は行きたい、ということで計画した弾丸ドライブツアーでしたが、決行して本当に良かったと思います。
まずはやはり、日本の、北海道の、あの地域でしか見ることの出来ない貴重な自然に触れることができたことが一番の思い出。
こればっかりは、実際に足を運ばなければ感じることのできない空気感というものがありますから、実際に行くことができるということは本当に恵まれたことですよね。
また、島国ながらも隣国ロシアに一番近い場所であるということの意味や、明治以降の近代日本で北海道が担ってきた立場や役割ということについてもぼんやり意識するきっかけとなりました。
北海道の中でも、さらに稚内は特別な場所だと実感。
みなさんも、機会があればぜひ!北緯45度以北に行ってみてほしいと思います。私はグルメ抜きでしたけど、きっと豊富牛乳以外にも美味しいものがたくさんあるはすです。
そのときは、利尻富士やサハリンが見られるといいですね!
私も、人生の中でもう一度は足を運び、今度は利尻・礼文に渡ってみたりもしたいです。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
ではまた☺ Polly

※記事内の写真は全て2018年8月18・19日時点のものです。