こんにちは、旅と自然から元気をもらうサイト「しぜんfan」のPollyです。
今回の絶景ドライブレポートの行先は、北海道の北の北、稚内エリアです!
稚内といえば、札幌に住んでいても、用がなければ全く行く機会のない場所。どこに行く途中というわけでもないですし、なにしろ遠いです。
札幌から宗谷岬までの距離は、東京・名古屋間に匹敵する350km越え。深川から先は高速道路もないですから、いくら快適な北海道ロードとはいえ、片道5時間はかかります。とんでもないです。
前回の美瑛・富良野ドライブのときにも同じような話をしましたが、北海道って本当に広いんですよね…。
函館、釧路、根室、知床、網走、稚内、宗谷岬、えりも岬、層雲峡、阿寒摩周、サロマ湖、流氷もろもろ、どこに行くにも何を見るにも、とにかく道中が長い。同じ景色。
しかし! 行かなきゃ見れない景色があるわけで、どこまでも走りたい気分になるときもあるわけです。
そんなときは俄然張り切ります!北海道最高!
そんなわけで、北海道移住3年目にしてついに、一度は行ってみたい最北端、稚内へ行ってみることにしたのでした。
お送りするのは、2018年8月中旬の私の一人旅をベースとした観光レポートです。
立ち寄った観光スポットは10か所。現地の様子や訪れた感想などを、たくさんの風景写真やガイド情報とともに、2回に分けてお送りします!
旅の参考に、リフレッシュのひとときに、ぜひ気長にお付き合いくださいませ。
目次
旅の概要
旅の見どころ
今回の旅はやはり、こちらに尽きます。
いつもは見ることのないような景色の連続で、特に九州出身の私からすると、緯度や気候、植生の違いをひしひしと感じる旅となりました。
上記の見どころ以外にも、「稚内市内にはロシア語の看板・標識があるらしい」という噂もこの目で確かめることができましたので、いやぁ、遠くまで行ってみるもんですね。
非常に良い思い出になりました。
観光スポット
今回のドライブで私が立ち寄った観光スポットをマップに出してみます。

地図上の番号が、以下のリスト番号と対応しています。
- 北緯45度通過点モニュメント(幌延町)
- 幌延ビジターセンター・下サロベツ原野(幌延町)
- ほろのべトナカイ観光牧場(幌延町)
- 大規模草地牧場(豊富町)
- サロベツ湿原センター・サロベツ原生花園(豊富町)
- 宮ノ台展望台(豊富町)
- ノシャップ岬(稚内市)
- 稚内公園(稚内市)
- 宗谷岬公園(稚内市)
- 宗谷丘陵(稚内市)
前編となる今回は、❶から❻までの太字になっているスポットをご紹介したいと思います。
なお、立ち寄った先はすべて自然がらみのスポットです。Googleマップや途中で立ち寄った道の駅での情報などから、ルートに沿ってピックアップしました。
記事内に、グルメ情報やお洒落なお店情報は全くありません。そして、私の旅は決まってハードな弾丸スケジュール。
ハンドルを握るとなぜか一刻を惜しんで先を急ぐ人になってしまうんですよね。結果、肝心なものをゆっくり見ずにさっさと次に行ったりしてしまうので、やめたいんですけど。
そのせっかち感が画面に出ないよう、せめて編集はゆったりしていこうと思います!
旅のデータ
お次は参考までに、私が実際に旅をした日程や天候などのデータです。
- 訪問日時:2018年8月18日(土)午後12時~19日(日)午前8時
- 現地滞在時間:20時間
- 天気:くもり(最高21.8℃、最低12.7℃)
- 交通手段:マイカー
自宅は札幌市内です。
2日間とも曇りでしたが、ときどき青空が出たり光が差したりと、まずまずのお天気でした。
「訪問日時」の記載時間と「現地滞在時間」は、①を見始めて⑩を見終わるまでということで記していますので、札幌からの移動時間は含みません。
ただし、現地では一泊、「道の駅わっかない」で車中泊をしましたので、睡眠時間は入ってます。夏なのに寒かった…。
よし、概要説明はここまでにして、とっとと出発しましょう!
ドライブレポート
オロロンラインでぐんぐん北上!
早朝6時頃、コーヒー片手に自宅を出発し、ちょこちょこ休憩をしながら一路「北緯45度」を目指します。
お世話になるのはもちろん、「日本海オロロンライン」!
稚内までの海岸線はずっとこのオロロンラインなのですが、増毛から北緯45度モニュメントのある幌延までは特に「萌える天北オロロンルート」と称され、「シーニックバイウェイ北海道」のひとつにもなっているほどの絶景ルートです。

羽幌町沖の天売島に生息する海鳥「オロロン鳥」(ウミガラス)の名にちなんで名付けられたそうです。
そこでせっかくなので、少しオロロン鳥について調べてみました。
- 絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種)
- 分布:北太平洋、北大西洋の亜寒帯を中心に分布している。日本国内では、今では天売島でのみ繁殖
- 天売島での生息数:1960年代には8000羽と推定されたが、2018年に確認された個体数は58羽。懸命な繁殖保護活動の成果あり、現在ではわずかに増加傾向にある
- 減少の要因:全般的には餌資源の減少が考えられているが、最近の主な減少要因は、オオセグロカモメやハシブトガラスによる卵やヒナの捕食と考えられている
- 生態:全長40cm~45cm。潜水して主に魚類を食べる
※参考元:「天売島におけるウミガラスの繁殖結果について」(2018年、環境省・北海道地方環境事務所、http://hokkaido.env.go.jp/pre_2018/post_84.html)
「オルル~ン、オルル~ン」と鳴くそうですよ。
カモメやカラスは、人間界だけでなく自然界でも図太くやってるんですね。元を正せば人間のせい…?と考え出すと深みにはまりますので、とにかくオロロン鳥、元気に数を増やしていってほしいです。
ではドライブに戻りましょう。
海岸沿いを運転すること5時間、一気にタイムスリップして、まもなく北緯45度線に到着です。
①北緯45度通過点モニュメント
やってきました、北緯45度! 行ったことのある方には御馴染みの、これです。

なぜだか撮らずにはおられない、謎の「N」。北緯「North Latitude」の「N」でしょうか。
背景には「利尻富士」、という眺望スポットでもありますが、残念ながらこの日は全景は拝めず。
「N」の前には路側帯が広がっており、何台か車を停められるスペースがありました。時間帯やタイミングによっては大混雑するようです。
さすが夏の北海道ですので、バイカーさんたちの姿も多くみられました。
また、道の反対側には別の看板があり、意外とそっちも記念にはいいかもしれません。
「ゆっくり走ろう北海道」「北緯45度通過点」「北半球ど真ん中」。なんとも旅情をそそってくれますね。元は絵か何かが貼ってあったであろう真ん中の木目部分が、逆にいい味を出しています。
ここからオロロンラインとお別れし、サロベツ原野を内陸に入っていきましょう。
滞在時間:約10分
サロベツ原野について
ここで少し、「サロベツ原野」についても簡単にまとめてみます。(参照元:サロベツ湿原センターウェブサイト、豊富町観光協会「サロベツ湿原詳細」)
- 豊富町と幌延町の海岸線沿いに広がる、20,000~24,000haにも及ぶ広大な原野
- その中心には、6,700ha(東京ドーム約1,400個分)の広大なサロベツ湿原がある。これは、国内では3番目にあたる規模
- サロベツ湿原は2005年11月8日にラムサール条約(※関連記事あり)にも登録され、世界的にも重要な湿地のひとつである
- 有名な釧路湿原は日本最大級の「低層湿原」であるが、サロベツ湿原は日本最大の「高層湿原」。尾瀬などに代表される高層湿原の多くは山岳地帯にあるため、平地で見られるということが同湿原の大きな特徴となっている
- 原野の一部は「利尻礼文サロベツ国立公園」の特別保護地区に指定されている
- アイヌ語の「サル・オ・ペツ」(葦原を流れる川)が語源とされている
こんなにすごい場所だとは知りませんでした、サロベツ原野。
サロベツ湿原を散策したり情報を得たりすることのできる観光施設は二か所あり、今から向かうのはそのうちのひとつ、「幌延ビジターセンター」です。
②幌延ビジターセンター・下サロベツ原野
さきほどの「N」から5分少々のドライブで、幌延ビジターセンターに到着です。
センターからは周辺を散策できる木道が設けられており、下サロベツ原野の自然とふれあうことができます。
湿原で一番大きな沼「パンケ沼」までもここから木道を歩いて行けたのですが、下調べの足りなかった私は一番近い「長沼」を見学する最短のループコースを歩きました。
お時間のある方は、パンケ沼まで行ってみるのも良いと思いますよ。片道約3kmだそうです。



この紫の花は「サワギキョウ」というそうで、ちょうど8月が見頃のようです。小さな蝶々たちが一生懸命、この花々の周りを飛び回っていました。
沼を過ぎて辺りを見回すと、遠くにビジターセンターが見えます。奥の中央の、茶色の屋根の建物がそうです。

左隣りに見える長方形の建造物は25mの高さのある展望台ですが、残念なことに、この日私は上りませんでした。パンケ沼といい展望台といい、寄らなかったことに今となっては悔いが残ります。
ビジターセンターでは湿原の成り立ちや動植物の情報などを知ることができるほか、2階の休憩室からは見晴しの良い眺めが楽しめます。天気が良ければ利尻富士も望めるそうですよ。
サロベツ原野に来たからにはぜひ立ち寄りたい場所です!

住所:北海道天塩郡幌延町字下沼
入場料:無料
駐車場:あり/無料
開館時間:9:00~17:00(5月~10月)
休館日:冬期(11月~4月)閉鎖、開館期間中無休
※環境省・北海道地方環境事務所のウェブサイトから、2019年8月現在の情報です。
滞在時間:約25分
③トナカイ観光牧場
次の目的地は、幌延ビジターセンターから約15km先、県道121号線沿いにある「ほろのべトナカイ観光牧場」です。
入場無料ですし、トナカイを見るいい機会だろうということで寄ってみました。

メインビルディングは北欧風のかわいらしい建物。この建物を通り抜けて牧場に入るのですが、館内にはレストランやお土産物屋さんもあり、多くの家族連れで賑わっていました。
牧場の方に出ると、早速トナカイたちが登場。

彼らを見てすぐに興味をそそったのが、足の形です。よく欧米のアニメでデフォルメされているように大きな蹄をしていて、やはり鹿とは違うな、という感じ。
牧場のホームページによると、牧場内には65頭ほどのトナカイが飼育されているそうです。元は観光牧場にするつもりではなく、市街地近くで家畜として飼育していたところ、その珍しさから話題を集め、見学者が増えるとともに手狭になったために移転した先がこの場所なんだとか。
有料で餌をあげることもでき、そのせいもあってかトナカイたちはとても人懐っこい印象。ぐいぐい寄ってくるはいいが、長い角が邪魔そうです。
パドックも広く、トナカイたちは伸び伸びと元気そう。間近で見られて、ちょっと得した気分でした。
冬はトナカイソリ体験もできるそうですので、冬こそ行ってみたいですね。
住所:北海道天塩郡幌延町字北進398番地
入場料:無料
駐車場:あり/無料
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週月曜日、年末年始
※同牧場のウェブサイトから、2019年8月現在の情報です。
滞在時間:約15分
④大規模草地牧場
次の目的地は、お隣り豊富町の「大規模草地牧場」です。トナカイ牧場から真っ直ぐ北上します。時間にして10分ほどのドライブ。
大規模草地牧場って、何だかピンとくるような来ないような呼称ですが、確かにそれ以外に呼び方がない…。とにかく、大規模な草地が広がる牧場なんです。そこにホルスタインたちが悠々と放牧されています。
私はこの手の牧草地が大好きなので、個人的にはこの場所がこの日一番の見どころでした。

幌延のほうから向かった場合、牧場に入ったかな?というあたりで右側に車を停められそうな場所があり、そこには昭和43年に天皇・皇后両陛下が視察にお越しになった際の「行幸記念碑」が建っていました。
記念碑周辺の牧場風景も素晴らしいものでしたが、この広大な牧場でとりあえずメインの観光ストップとなるのは、もう少し先の、Googleマップで「町営大規模草地牧場」とある地点だと思われます。
サロベツリフレッシュロード沿いに車を停められる公園のような場所があるので、すぐ分かると思います。公共のトイレもあり、そちらは6月~10月まで利用可能なようです。

とにかくあたり一帯360度牧場風景ですので、お好きな方はぜひそのままリフレッシュロードを進んで、豊富市街までぐるりとドライブしてみてください。そして街で牛乳でも買って飲めば完璧!
といっても、道民のみなさんならきっと意図せずともいつも飲んでますよね、豊富牛乳。
では、ここからしばし牧場風景をお楽しみください。



これらの牛の写真は、牧場入口の「行幸記念碑」のあるあたりで撮影しました。

遠くにいた牛たちが大移動を始めてこちら側に来たので、しめたとばかりにそろりそろり近づいたら、すごいガン見されたという一幕です。
この牧場の総面積は1,500ha(東京ドーム約 320個分)もあり、日本有数の規模。5月~10月の間、約1,500頭の乳牛が放牧されます。
私は見ていませんが、2009年に放映されたNHKのスペシャルドラマ『坂の上の雲』のロケがここで行われたそうですよ。(情報元:豊富町観光協会ウェブサイト)
いやぁ、牧草地好きにはたまらない時間となりました。ちなみにこれらの写真をイギリス人に見せると、「なんだ、イギリスみたいじゃん」と無感動でしたけど、ここは日本ですからね!
素晴らしい風景です。
滞在時間:約30分
⑤サロベツ湿原センター・サロベツ原生花園
次に向かうのは、サロベツ原野をテーマとした観光施設の二つ目、「サロベツ湿原センター」です。
先ほどの町営大規模草地牧場広場からサロベツリフレッシュロード経由で向かう場合、距離は約20km、30分ちょっとのドライブです。豊富町市街地を通り越して、湿原側に向かいます。
ところで現在の時刻はというと、15時20分頃です。北緯45度通過点モニュメントに着いたのが12時でしたから、既に3時間以上が経ちました。あっという間です。

広々とした湿原センターの駐車場。風が強く、印象的な空模様となりました。
2011年に建ったばかりの湿原センターは木材を基調とした落ち着いた雰囲気の建物で、館内では写真やパネルなどがセンス良く分かりやすく展示してあります。湿原について、湿原にまつわる自然、人々の暮らしや歴史、そして豊富牛乳や豊富町の酪農についてもここで学ぶことができます。
建物には太陽光発電やートポンプ暖房などの自然エネルギーを利用しており、化石燃料に頼らないエコな造りとなっているそうですよ。 (情報元:サロベツ湿原センターウェブサイト )
また、センターの周囲には外周約1kmの木道が設置されており、湿原内を散策することができます。そんなわけで、「サロベツ原生花園」とも呼ばれているようです。
では、実際に歩いてみましょう!


写真ではうまく伝わらないのが残念ですが、本当に“原野”という感じで、ただただ草原が広がっています。アフリカなどの視力のいい人なら、遠くにもっといろいろ見えるのでしょうかね。
天気がよければ、ここからも利尻富士がきれいに見えるそうですよ。
先に行った「幌延ビジターセンター」との一番の違いは、沼があるかどうかと、木道の長さでしょうか。植物分布の知識もない素人の意見に過ぎませんが、国立公園内をたくさん歩きたい方は、幌延の方がいいかもしれません。
私は、大規模草地牧場を訪れて以来すっかり豊富町のファンになったので、こちらにも来てみて良かったな、と思います!

住所:北海道天塩郡豊富町上サロベツ8662番地
入場料:無料
駐車場:あり/無料
開館時間:【5月、8〜10月】9:00~17:00、【6〜7月】8:30~17:30、【11〜4月】10:00~16:00
休館日:【夏期】なし、【冬期】月曜、年末年始 ※月曜が祝日の場合は開館、火曜振替休館
※サロベツ湿原センターのウェブサイトから、2019年8月現在の情報です。
滞在時間:約25分
⑥宮ノ台展望台
お次はサロベツ原野でも人気の展望台「宮ノ台展望台」です。
湿原センターからの距離は約12km。県道40号線を北上し、徳満駅から右に曲がった高台にあります。湿原センターと順番を入れ替えて、大規模草地牧場から直接来てもいいような位置関係にあります。
雲行きが怪しくなり、かなり薄暗くなってしまいました。
展望台に上る前に目に付く、ホルスタイン親子の像。タイトルを見ると「豊富町酪農発祥の地」とあります。これについては先ほどの湿原センターに説明があったに違いありませんが、見逃しました…。今となっては、タイトルから想像するのみ。

展望台からは、これまた広々と、どこまでも続くサロベツ原野! 天気がいい日に、朝日や夕日を見るのにも良さそうな展望台です。
ちなみにこの展望台は、元々は「徳満展望台」または「サロベツ展望台」と呼ばれていたそうですが、昭和 38年に義宮殿下(後の常陸宮正仁親王、平成天皇の弟)が視察されたことにちなんで、宮ノ台展望台と呼ばれるようになったそうです(情報元:豊富町観光協会ウェブサイト)。
皇族の方々も視察で全国各地を回っておいでなんですね。
住所:北海道天塩郡豊富町徳満
入場料:無料
駐車場:20台程/無料
休日:なし(冬季除雪なし、冬季トイレ閉鎖)
※豊富町観光協会のウェブサイトから、2019年8月現在の情報です。
滞在時間:約10分
豊富町観光協会のウェブサイトには記載はありませんでしたが、時間帯や季節によって展望塔入口が施錠されている可能性もありますので、出発前に念のためそのあたりも詳しく調べてみるといいかもしれません。
さて、時刻は16時半を回っています。次に目指すのは、稚内市内の「ノシャップ岬」。夕日の名所らしいのですが、この天気ではどうでしょうか。
とにかく、日の入りまで2時間しかありませんから、40kmの距離をひた走ってみます! というところで、前編の終了です。最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
【後編】では、宗谷岬や宗谷丘陵が大きな見どころとなります。ぜひまたお付き合いくださいませ☺
それでは! Polly

※記事内の写真は全て2018年8月18日時点のものです。