白川水源から高森湧水トンネル公園へ―快速たかもり号で行く晩夏の南阿蘇・後編




こんにちは! 自然観光と風景写真が趣味の福岡市民、Pollyです。

当記事は、2019年9月14日(土)に私が行ってきた “たかもり号で行く南阿蘇・高森一人旅” の風景を綴る観光レポートの後編です。

前編では、「県内 バス・電車無料の日」に便乗して熊本市内から快速バス「たかもり号」に乗車し、名水・白川水源を観光したところまでをご紹介しました ↓

阿蘇白川水源の水面に映るシダ

記事内では、白川水源から高森までの風景高森湧水トンネル公園」についてのガイド情報や実際の様子、帰りのバス停探しに手間取ったことなど、旅の続きをレポートしていきたいと思います。

この記事を参考にしていただける方
  • 「たかもり号」で南阿蘇・高森へ行こうと計画中の方
  • 白川水源からトンネル公園への移動手段を知りたい方
  • 高森湧水トンネル公園の様子・情報を知りたい方
  • 南阿蘇の雰囲気をなんとなく見てみたい方 など

前編から引き続きの方も後編からの方も、どうぞよろしくお願いいたします!

白川水源から高森湧水トンネル公園までの移動手段

レポートに入る前に、白川水源と高森湧水トンネル公園との位置関係や道のりについて確認しておきましょう。(トンネル公園の項目へ進みたい方は、上の目次からジャンプできます)

白川水源からトンネル公園までは、距離にして約2.8kmです。

© OpenStreetMap contributors

私は今回、上の地図の青いライン約40分かけて歩きますが、公共交通機関はどんな具合でしょうか。調べてみたところ、タクシー以外では産交バスが通っているようです。

「白川水源」のバス停から乗車し、「高森湧水トンネル公園入口」で下車します。

白川水源入口発 乗車時間・片道運賃
快速たかもり号 13:50 4分、大人160円
南阿蘇ゆるっとバス(白水コース) 12:53、14:23 5分、大人100円

熊本市内から「たかもり号」で往復する場合、始発便で白川水源に着くのは11:50

一方、熊本方面へ戻る最終便は「高森中央15:30発」ですから、白川水源を観光後にトンネル公園へ向かうバスとして現実的なのは、赤字にしてある2つの便だと思います。

どちらかというと、13:50の方に乗れたほうが安心ですね!

南阿蘇鉄道のトロッコ列車について

周辺の公共交通機関には産交バス以外に「南阿蘇鉄道」もあるのですが、調べてみたところ、中でも時間的に良さそうなのは観光用のトロッコ列車のみでした。

こちらは “ちょい乗り” するには高すぎる上、運行日も時期によって変わりますし、事前に高森駅で切符を買ったりもしなければならないようですので、今回の移動手段からは外させていただきました。

どうせトロッコ列車に乗るならば、また別の独立したアクティビティとして、運行区間いっぱい乗った方がいいですよね! と個人的には思います。

【参考】「トロッコ列車」運行情報
★3月10日~12月1日の土・日・休日、春・GW・夏休み期間のみ運行
★運行区間は「高森」⇔「中松」(乗車時間21~25分)
料金:大人往復1,000円~、小人往復600円~
HP:http://www.mt-torokko.com/trolley-train/

以上は2019年10月18日時点で私個人が調べた情報ですので、お出かけ前には必ずご自身でもご確認くださいませ。

それでは、私のマイペースな徒歩旅に戻らせていただきたいと思います!



観光レポート後編

高森までの、素晴らしい田舎道

白川水源から車道に出ると、駐車場にたくさんの車が停まっている様子が見られました。

白川水源乗用車専用第一駐車場

水源用の無料駐車場が、車道沿いにいくつか点在しているようです。

人々の様子を見るに、やはり公共交通機関よりも自家用車で来る人の方が多いのかなという印象を受けました。確かに、車だと時間に縛られずに “はしご” していろいろ行けますしね。

でも今日の私は、バス。熊本市内から「たかもり号」で白川水源にやってきました。せっかくなら、車ではできないことをしようではありませんか。

ということで、お隣りの高森町方面へ約3kmの徒歩旅のスタートです。

目的地の「高森湧水トンネル公園」までは、田舎景色好きにはたまらない景色が四方八方に広がります。

晩夏の南阿蘇村の田園風景
南阿蘇村の道路

車道沿いには歩道はなく、路側帯も終始狭めなため、お子さんと一緒の場合はもちろん数人のグループの場合も、徒歩はちょっと危ないかもしれません。

水源を出発し、木々に囲まれたカーブをいくつか抜けると、視界の開けたストレートに出ました。

天気や季節感も相まって、山や畑の景色が美しいのなんの、です。

晩夏の稲穂クローズアップ

五穀豊穣、豊かな阿蘇の水で育つ穀物は美味しそうですね! 南阿蘇や高森産のお米を、白川水源のお水で炊いて食べてみたい…。

トロッコ列車に遭遇!

途中、南阿蘇鉄道の見晴台駅手前あたりで、運良くトロッコ列車が走るのを見ることもできました。

南阿蘇鉄道のトロッコ列車
南阿蘇鉄道のトロッコ列車

快調に汽笛を鳴らして走り去って行きました。時間的には、14:30高森駅発の「ゆうすげ6号」のようです。

高森町に入り、トンネル公園への案内看板に従って右折します。あたりには、至るところに彼岸花が咲いていました。秋の訪れ、ですよね。

高森町の道沿いで見かけた彼岸花クローズアップ

高森湧水トンネル公園とは?

白川水源を出て40分ほどかかって、ようやくトンネル公園の駐車場に到着。

私の歩くペースは他の一般的な30代女性と変わらないかそれより早いくらいですが、写真撮影のためにちょくちょく立ち止まったので、黙々と歩けば成人なら30分強で着くくらいだと思います。

さて。白川水源に近い観光地ということで来てみましたが、そもそも湧水トンネル公園ってどんな場所なんでしょうか。

高森町のウェブサイトによると、どうやら元々は公園になるべくして造られた場所ではなかったようです。

旧国鉄高森線と高千穂線を結ぶ工事が昭和48年12月から着手されましたが、昭和50年2月、突然トンネル工事で大量の出水に見舞われ、その後も度重なる出水事故が発生して中断となり、その結果、今は高森町の貴重な水源地となっています。トンネルの長さは2,055メートル。常時、毎分32トンの湧水量があります。

高森町のウェブサイト「高森湧水トンネル公園」より

えー! ということは、高森と宮崎の高千穂をつなぐ鉄道は、豊富な湧き水のために断念されたということなんですね。なんともはや…着工する前に分からなかったんでしょうか。

私は以前宮崎県に住んだことがあり、宮崎↔熊本↔福岡は幾度となく移動したので多少の土地勘があるんですが、熊本から宮崎に電車で行くには、人吉を経由していくしかないんですよね、確か。

それが、南阿蘇を通って高千穂から行けていたかもしれないと聞くと、何ともグッとくるものがあります。

トンネル公園の構造

そのトンネル公園は、大きく分けて “噴水公園部” と “トンネル部” との二つのパートに分かれていました。線路が地上からトンネルに入っていく部分のイメージですね!

ここで注意しておきたいのが、トンネルの奥までの距離バス停の位置です。

まず、噴水公園部の距離は約300m、そしてその奥のトンネル部は約500m。合わせておよそ800mです(私調べなので、参考程度にどうぞ)。

そして、トンネルは通り抜けはできません

よって、トンネルの一番奥まで行ったらUターンして入り口に戻ってくることになります。

地図を使ってご説明すると、私の想像ではたぶんこんな感じの構造です。

高森湧水トンネル公園の構造図解と周辺のバス停マップ
© OpenStreetMap contributors

が噴水公園部、がトンネル部です。各バス停の場所も載せてみました。

公園に入るときは「高森湧水トンネル公園入口」下車で良いのですが、帰りはトンネル部から出たら公園部へは戻らずにすぐ上に出て「高森下町」に向かう方が若干近いようなんです。(Googleマップ調べ)

私はそのようにしてみたのですが、なんと土壇場で「高森下町」のバス停が見つからず、結局あれよあれよと「高森中央」まで走る羽目になってしまいました…。

ということで、非常に中途半端な情報になってしまって申し訳ありませんが、私のように「高森下町」から乗ろうとする場合は特に、帰りのバス停の場所をしっかり調べて、時間に余裕を持って行かれることをおすすめします

噴水公園部

では、公園の様子を見ていきましょう。噴水公園部の入り口の様子がこちらです。

高森湧水トンネル公園の入り口

脇にある小屋の中には車椅子が数台用意されていました。後ほどトンネル内部を歩いた際、バギー(ベビーカー)を押している若夫婦も数組見かけましたので、白川水源同様に車椅子での観光も問題なさそうです。

入口に立っていた高森町役場による「ごあんない」は以下の通り。

  • 入場料:中学生以上300円、小学生100円、小学生未満無料
  • 開園時間:4~10月は9~18時、11~3月は9~17時
  • 盲導犬を除き、ペットの同伴は不可

料金は、トンネル部に入るところで支払うようです。先に進んでみましょう。

高森湧水トンネル公園

湧水による水路の両端に、散歩に良さそうな遊歩道が続いています。鉄道が無理ならば、いっそ水の公園にしてしまおうという国鉄の人々や高森の人々の発想の転換が素晴らしいです。

ほどなく、トンネルの入り口が近づいてきました。下の写真の、左手に見える水色の階段が、「高森下町」のバス停方面へ抜ける上がり口です。

高森湧水トンネル公園

私事ですが、この時点で実はもう15時です。「たかもり号」の最終便まで30分しかないという事態。逃すと帰れませんので、ここからはかなりシビアに時計をチェックしつつ、超速足での観光です。

(参考までに、後で知ったところによると、これを逃した場合でも17:30発大津行の快速バス「南郷ライナー」に乗ればなんとかなったようです。)



トンネル内部へ

高森湧水トンネル公園の入り口

入り口で入場料を払ってトンネルの中へ。入場券は脇の自販機で購入し、窓口に座っている人に渡すという仕組みでした。チケットの半券など、訪問の記録となるものが何も貰えなかったのがちょっと残念。

中に入って少し進むと中央に水路が出現し、片側通行制となります。

高森湧水トンネル公園のトンネル内部の様子

中央の水路に青い光が映って幻想的ですね。進むにつれて、空気もひんやり涼しくなってきました。

道中には「七夕まつり」の名残かと思われる、地元各団体による飾り付けがずらりと展示されており、飽きずに歩くことができます。

残念ながら私は全然ゆっくり見ることができませんでしたが、中にはすごい力作もあったりしました。

10分ほどでトンネルの一番奥に到達。突き当りには水神様がいらっしゃるようで、水路の中にはたくさんの小銭が投げ入れられていました。

トンネルの入り口には「水路にお金を投げ込まないでください」と書いてありましたが…水神様にはいいってこと? ほんとは投げ込んではいけないのかもしれませんね。

突き当り付近にある不思議な水玉の滝「ウォーターパール」も人気で、多くの人が足を止めて眺めていました。

高森湧水トンネル公園のウォーターパール

水の球が上に上がったり止まったりして見えるディスプレイです。説明案内によると、特殊ストロボライトと残像現象を利用した技術なんだとか。

道中には七夕の飾り付けだけでなく、電飾が全面に映る鏡張りの通路があったり、記念撮影スポットが設けられていたり、歩く人を楽しませる工夫がたくさん凝らされていました。

中でも私が一番気に入ったのは、こちらの「神秘の泉」↓

高森湧水トンネル公園の神秘の泉

泉の中をのぞき込んでみると、青い光に照らされた水の中に、たくさんの魚たちが泳ぎ回るシルエットが浮かび上がっています。

高森湧水トンネル公園の神秘の泉

すごくきれいでした。

明るい中で見ると普通の魚なんでしょうが、確かに “神秘の泉” っぽいです。水が澄んでいるからこそできる演出なのかもしれませんね。

文字通り駆け足ではありましたが、トンネル内を往復してみると「300円払っても損はしなかったな」と思える内容でした。ひんやり涼しくて気持ちがいいし、夏には特におすすめできるスポットです!

観光所要時間は、25分あればなんとか全部見られることは分かりましたが(笑)、やはり1時間は必要なのではないでしょうか。

トンネルの上(地上)には「高森町湧水館」や「水神碑」もあったようなので、またぜひゆっくり見に行ってみたいです。

あわや乗り遅れ!バス停の謎

これについては既にお話した通りです…。

最寄りの「高森下町」へはトンネル出口から5分ほどで着くはずが…バス停があるはずの場所に着いても、バス停が見当たらない! という事態に。

よ~く見ればどこかにあったのかもしれませんが、とにかく焦っていた私は、道行く人や熊本日日新聞のお兄さんにまでバス停の場所を訪ね、結果、教えられるがままに一つ先の高森中央」にまで走ることになってしまったのでした。

高森中央に着く頃には余裕で定刻を過ぎており、バスも発車してしまっていたのですが、ありがたいことにこの日は「無料の日」。産交バスさんが増便してくれていたんです(泣)。

おかげで何とか3号車に滑り込み、無事に帰途に就くことができました。

走り過ぎて、死ぬかと思いました。

それはそうと、熊本を訪れるといつも思うのですが、熊本の人って本当に人が良くてフレンドリーで、根が明るくオープンマインド。

九州の人は大抵オープンで感情表現がストレートですが、やはり地域によって微妙に違うと思うんですよね。例えば福岡はどこかちょっとチクッとした面倒くさいところがあるように思うのですが(笑)、熊本の “肥後もっこす” たちは気取っていなくて、なんか居心地がいいです。変な閉鎖感も強くないし。

ありがとう、旅で出会った熊本の人たち!

開通したての大切畑大橋を走行!

無事に乗り込んだ3号車の車窓から「高森下町」の場所を確認しようとしたのですが、やはり良く分からないんですよね…。おそらく「塚本商店」という、自販機のある古いお店の前だとは思うのですが。

もしかしたら、道を挟んで反対側にしかバス停のサインがなかったのかもしれません。利用予定の方は、行きのバスででも運転手さんに聞いてみてください!

さて。帰りのバスでは、しばし車窓からぼんやりと去り行く山々を眺めます。日の光も、すっかり夕方の色になってきました。

後は熊本市内まで居眠りして終わりかと思いきや、帰り道には最後のイベントが残されていました。それは、全面開通したばかりの「俵山トンネルルート」を通行すること。

このルートは「南阿蘇ルート」とも呼ばれ、熊本市と南阿蘇を結ぶ最短かつ主要ルートなんですが、2016年の熊本地震以降あちこちで復旧工事が続いており、「大切畑大橋」が最後の未開通パートだったそうなんです。それがこの日、2019年9月14日の15時にすべて開通したんです!

通行したのが16:15でしたから、開通してわずか75分後に通ることができたんですね。

通行時には運転手さんが一言、「今から通りますよ~」と乗客に声をかけてくれました。

こちらがその「大切畑大橋」。さすが開通したてだけあって、真新しい様子です。南阿蘇村にとっても、運転手さんたちにとっても、復興を実感する大きな出来事だったことと思います。

この橋の通行をもって、私のレポートも終了とさせていただきます。おつかれさまでした!

おわりに

今回の記事では、私の体験談を中心に、熊本市内から南阿蘇・高森へのバスの旅についての情報をお届けしました。

長~い記事になってしまいましたが、最後までお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました!この記事が何か少しでも誰かのお役に立てたなら嬉しい限りです。

今回の旅で分かったこと・思ったことは、

  • 南阿蘇・高森エリアは、阿蘇の恵み、水と緑に溢れた素晴らしい自然観光エリアだった
  • 車で出かけることの便利さ・自由さを実感した
  • 公共交通機関で旅をするときの、ちょっとした緊張感やワクワク感を思い出すことができた
  • 南阿蘇にはまだまだ行きたい場所が残っているので、今度は車でまたゆっくり行きたい

というようなことでした。

時間に縛られずに車で出かけるのもいいけれど、いつもより目線の高いところに座って、ときにはお菓子をつまみながら、ときにはうつらうつらしながら車窓を楽しむバスの旅も、たまにはいいもんだなと思います。

そして、桜町のグランドオープン俵山ルートの全面開通という、熊本の大事な日に立ち会えたのも嬉しいことでした。産交バスの運転手さんたちには、心から「おつかれさま」を言いたいです。

それではこれにて、今回の記事を締めくくります。どうもありがとうございました! Polly

※記事内の写真はすべて2019年9月14日時点のものです。