こんにちは、景勝地好きのアラフォー福岡市民、「しぜんfan」のPollyです。
今回お送りするのは、能古島・絶景徒歩旅レポートの後編。
前編では、姪浜渡船場から「フラワーのこ」で絶景博多湾クルーズを楽しみ、能古渡船場・案内所を探索した後に「能古島自然探勝路」(全長2.5km)を歩き切ったところまでをご紹介しました。
言ってみれば、“海編”という感じです。
“山編”の後編では、自然探勝路の終わりから思索の森に入り、能古島展望台を経由して鹿垣を見物するという内陸ハイキングの様子をレポートにしてみたいと思います。
前編からの方も後編だけの方も、どうぞよろしくお願いいたします!
目次
観光レポート後編
後半のスタート地点は、下のマップの 〇 のところです。

これから自然探勝路を離れ、展望台方面へ、能古島の最高地点へと登って行きます。
思索の森
先ほどまでの自然探勝路はうっすら舗装されていましたが、ここからしばらくは、文字通りの山道。

さすが展望台へ向かっているだけあって、緩やかな登り坂が続きます。
しばらく進むと右手に見えてくるモニュメントが「檀一雄文学碑」です。

檀一雄さんというのは、柳川出身の作家さんなんだそうです。
既に昭和51年冬に他界されているのですが、放浪生活の後に終の棲家として落ち着いたのがこの能古島だったそう。
この石碑は、その死の翌年にご友人一同が建てたもののようです。
「モガリ笛 いく夜もがらせ 花二逢はん」
石碑には、ご本人が死の5日前に色紙にしたためたという辞世の句が刻まれています。
糸島半島をきれいに望める場所にあることから、あのあたりに何か縁のある方なのかな、と思って調べてみたところ、檀さんの代表作『リツ子・その愛』『リツ子・その死』の舞台となったのが糸島半島だそうです。

さらに進むと、何かまた別のモニュメントを発見。きっとここが「思索の森広場」に違いありません。森の入り口からは300mほどの距離。

モニュメントの説明版には「いざなぎ石といざなみ石」とあります。
内容を要約してみると、日本の国々を造ったと古事記に記されれいる二人の神様の名前が「いざなぎ」と「いざなみ」であり、能古島は、その二人が最初に降臨した島・オロノコの一部だったと言い伝えられているそうな。
文章の最後は、“~は、私たちに人類の起源を連想させるようです” 。
なるほど。なぜ「思索の森」なのかと疑問に思っていましたが、故人への追慕や世界の起源など、哲学的な瞑想がテーマな場所だからなのかも。(違うかもしれませんけど。)
ちょうどお腹も空きましたし、思索がてら、側の東屋でお弁当でも食べてみることにします。

薄暗い森の中に透け込む木漏れ日が大変きれいでした。

能古島展望台まで
長く座っていても蚊に刺されるだけですので、ちょっと休憩したら旅を再開。
先ほどの広場から順路を150mほど行ったところで、いきなり舗装された道路に突き当たりました。島民の方々の生活道路のようです。

その道路を右方向に200mほど進むと展望台への道案内が立っており、道を間違えていないことが分かって一安心。奥に公衆トイレもありました。

自然探勝路に入ってからずっとトイレがありませんでしたので、これはありがたいです!
入ってみたところ、水洗でしたが紙は設置されていませんでしたので、ポケットティッシュの用意が必要です。
トイレから展望台までは350m。ここが意外に長く感じましたが、絶景を期待してがんばります。

小さな集落を抜け、みかん畑を抜け…。

みかんの種類は分かりませんが、柑橘類は能古島の名産品なんですよね。こういう様子を間近に見られるのも、徒歩観光の魅力です。
さりげなく出ている道案内表示を見逃さずにラスト100mのところで左折し、坂を上っていくと、ようやく展望台に到着。

能古島展望台
こちらが「能古島展望台」です。

これまで全国津々浦々いろいろな展望台を見てきましたが、これはわりとスリムタイプ。
辺りは「能古島公園」と呼ばれる広場になっているらしく、少々寂れてはいるものの、座って休憩できるベンチなどもありました。
展望台の脇に佇む案内版によると、この場所の標高は195mで、能古島の最高地点であるとのこと。そう高くはないですが、博多湾の真ん中に浮かんでいる島なんだと思うと絶景必至ですね。
しかし、上る前にまず気になったのが、側にあったこちらのコスモス畑です。
そうそう、これこれ。これが見たくて来たんです、10月の能古島!
実情はこれでも、何気に満足!

…離れて見ると、やっぱりちょっと物悲しいですね(笑)
少しでもアイランドパークへ行けなかった無念を晴らしたところで、次はいよいよ展望台。螺旋階段を一番上まで上ると、360℃を見渡す素晴らしい空間が待っていました。
あちこち、順番に見てみましょう。
■ 福岡市内方面
まずはおなじみ、百道浜方面。
木が元気に茂っているため、スカッと開けた眺望とはいきませんが、やはりこの風景を見なければ始まりませんね。
■ 志賀島・海の中道方面
北の方角には志賀島と海の中道を一望できます。

私は東区育ちですのでやはりこちらの方向を贔屓にしてしまいますが、そうでなくても見ごたえのある眺望だと思います。
陸繋島・陸繋砂州の様子を丸っと把握できるので、地理好きの方にはたまらないのではないでしょうか。
■ 今津湾・糸島半島方面
次は、糸島方面です。
相変わらず西区には不案内ですが、あのかっこいい形の山は「毘沙門山」ですか?
さらに右には玄海島もくっきり見ることができました。
展望台へはバスを使っても多少は歩く必要がありますが、博多湾・志賀島・玄界灘を一望するこの眺望は能古島からしか見られないものですので、一度は足を運ぶ価値のある場所だと思います!
鹿垣探し
展望台も見終わり、これからアイランドパークへ行くことも可能でしたが、天気も下り坂でしたし、このまま散策を続けながら渡船場に戻ることにしました。
次の目的地は、観光マップに載っている「鹿垣」という場所です。何のことやらよく分かりませんが、ちょうど通り道にありそうなので…。
まずはバス通りを目指して下っていきます。
バス通りに出てすぐのところにはちょうどバス停がありました。観光マップで見ると「展望台入口」と載っていますが、実際には「早田古墳入口」となっています。名称が変更にでもなったのでしょうか?
なにはともあれ、このままバス通りを渡船場方面へ下れば「鹿垣」とやらがあるはず。
ほどなくして左手車道沿いに、おもむろに鹿垣の説明版がありました。お、この辺でしょうか。
その説明版によると、
前に見える石垣は、能古島に鹿の狩猟場を置いた黒田藩が、田畑を鹿の被害から防ぐため江戸時代後期の1836年に完成したもので、鹿垣と呼ばれています。高さ約2m、基底部の幅約4mで、石垣の前面には幅約3mの溝を開け、鹿が飛び越えるのを防いでいます。
とのこと。島の中央を約2kmに渡って横断しているそうです。
それはぜひ見てみたい!
説明には“前に見える石垣は、”とありますので、どこが前かも分かりませんが周囲を探してみます。が、見当たりません。
あるのは林ばかり。

え、どこ?
仕方ないので、バス通りをちょっと戻って、畑でお仕事中の島民の方に聞いてみました。
親切にも手を止めて丁寧に教えてくれたお母さんによると、「鹿垣は今はもうほとんど崩れてしまっているが、バス通りから内側(西側)に入って200~300m行ったところに比較的原型を留めている箇所がある」とのこと。
教えてもらった入り口がこちら。
確かに、矢印案内が出ています。さっき下ってきた道なのに、見逃していました。

鹿垣
道中の様子は割愛しますが、鹿垣を目指してたどり着いた先にあったのがこちら。

細長タイプの缶コーヒー、めっちゃ懐かしくないですか?
平成生まれはご存じないかもしれませんが、昭和生まれの方なら、写真を撮ってしまう気持ちも少しは分かっていただけるはず。
鹿垣もちゃんとありましたよ。
183年前に福岡藩の人たちが組み立てた石垣。これを2kmにも渡って築き上げるとは、造らされたほうは大変ですね…。
案内板によると、これだけの規模で残っているのは全国的にも珍しいんだとか。
お時間に余裕があれば、見てみて損はないのではないかと思います。けっこう「おおーっ」となるかも。

旅の終わり
時刻は15時になろうかというところ。
ここから渡船場まで2kmほど、引き続き島内の風景を楽しみながら、16:00のフェリーを目指したいと思います。
途中で「早田(そうた)古墳」の前を通りかかり、寄ってみようかとも思ったのですが、あまりにも林の中にありそうだったため遠慮しておきました。蚊がすごそうですもん。

入口に立っていた説明書きによると、ここには二基の古墳跡があり、いずれも西暦600年頃に建てられたものなんだそうです。かつて島内には他にも古墳が存在したとありますので、古くから能古島には、それなりの身分・力を持った人が住んでいたということになるのでしょうか。
西暦600年といえば、聖徳大使とか遣隋使の時代。大宰府の歴史もこの頃に始まっているようですし、歴史を真剣に勉強すれば、いろいろ繋がってくることもあるのかもしれませんね。
でも、古墳は見なくてもいいや(笑)
その代わりにというわけではありませんが、古墳入口を通り過ぎてから10分ほど歩いたところに素晴らしい“竹林の道”がありました。


距離はそんなに長くはないのですが、個人的には京都の嵐山もびっくりの美しさでした。
竹林って、風が少し強めに吹くたびにカランカランと音を立てるんですね。そんなこと、今まで気にしたこともありませんでした。
あらためて、いろんな種類の自然美が詰まった能古島の魅力をしみじみ感じたところで、今回の旅のレポートを終わりにしたいと思います。

おわりに
今回の旅を振り返ると、能古島は、今まで行ったことがなかったことが信じられないくらいの身近な絶景スポットでした。
海上や島から望む福岡本土や志賀島、糸島半島や玄海島など、普段見ることのない眺望は新鮮でしたし、島内に残る歴史も興味深いものでした。
一言でいうと、「こりゃ、一日じゃ無理だな」。
アイランドパークも見逃したことですし、ぜひまた何度でも島内探訪のプチトリップに出かけて、能古島の魅力を満喫してみたいと思います。
あまりにも自然が美しすぎて、ついつい写真も撮りすぎ、いつもにも増してレポート記事が長くなってしまいましたが、もし最後までお付き合いいただいた方がいらっしゃったならもう拍手喝采です。
本当にありがとうございました!
少しでも現地の雰囲気を感じていただけたり、何かのお役に立つことができたなら大変うれしいです☺
それではまた! Polly

※記事内の写真は全て、2019年10月11日に撮影したものです。