能古島絶景ハイキングレポート【前編】姪浜渡船場~博多湾クルーズ~自然探勝路[福岡市]




こんにちは! 自然散策をしながら写真を撮るのが一番の楽しみ、「しぜんfan」のPollyです。

今回のレポートの舞台は、福岡市西区の「能古島(のこのしま)」。福岡市民にはお馴染み、博多湾に浮かぶ“花と緑と行楽の島”ですね。

実は私、福岡に20年以上暮らしたアラフォーながら、能古島に行ったのは今回が初めてでした。船に乗らなければならないあたりにハードルが上がり、なんとなく行かず仕舞いになっていたんです。

そこを、一度はアイランドパークのコスモス畑を見てみたいという気持ちと、能古島に行くってどんな感じなんだろうという興味から、ついに先日2019年10月、博多湾を渡ってみました!

行き当たりばったり過ぎて結果的にはアイランドパークは逃してしまったのですが、島内の豊かな自然や歴史を感じる絶景ハイキングを存分に満喫することができました。

その素晴らしさをみなさまにも共有すべく、前編・後編の2回に分けて訪問レポートを作成してみたいと思いますので、お出かけのアイデアづくりや下調べなど、何かしらお役に立てれば幸いです。

その前編となる今回は、姪浜の渡船場から能古島に渡り、自然探勝路を歩き切るまでの様子をお届けいたします!

この記事を参考にしていただける方
  • 能古島に行くのがどんな感じなのか、ざっくりと興味のある方
  • 渡船場の様子やフェリーでの行き方に興味がある方
  • 自然探勝路の様子、歩いた場合の所要時間を知りたい方

渡船場までアクセスや交通費、島内の移動方法などの基本情報編はこちら ↓

フラワーのこ

それでは、いってみましょう!



旅の概要

まずは参考までに、当日の私の訪問データをご紹介します。

訪問日:2019年10月11日(金)
天気:晴れのち曇り
姪浜までの交通手段:車
往路フェリー:10:15発
復路フェリー:16:00発
現地滞在時間:5時間半
島内での移動手段:徒歩
お昼ごはん:お弁当持参
交通費合計:970円+自宅から姪浜までのガソリン代

5時間半の滞在時間のうち、5時間くらいは歩いていたと思います。

といっても道のりは比較的平坦ですし、立ち止まって景色を眺めたり写真を撮ったりしながらマイペースに歩きましたので、足が棒になるということはありませんでした。

あー今日はよく歩いたなぁ☺!」という、心地よい疲労感です。

どのくらいの距離を歩いたのか、渡船場にあった地図を利用して、当日のルートをみてみると…

黄色が歩いたルートです。時計回りに、総距離は7~8kmだと思います。

能古島渡船場から始まり、南海岸を歩いて自然探勝路に入り、そのまま北上して檀一雄文学碑のあたりから右折、思索の森展望台、そして仕上げに鹿垣を見てから渡船場に戻る、というルートを巡りました。

それでは、姪浜渡船場でフェリーに乗船するところからレポートスタートです!

観光レポート

姪浜旅客待合所の様子

能古島へのフェリー乗り場は、西区の愛宕浜にあります。

「姪浜旅客待合所」「能古渡船場」「姪浜渡船場」といろいろな呼び名があるようですが、とにかくここから能古島に渡りましょう!

© OpenStreetMap contributors

私は10時15分発のフェリーを目指し、自家用車で渡船場まで向かいました。

駐車場は、渡船場(旅客待合所)のすぐ北隣りにある、こんな立体駐車場です。

駐車場は待合所を挟んで反対側にもありましたが、一般利用はこちらの「第2駐車場」のほうのようです。駐車料金は、「1日1回510円」。

普通のコインパーキングと同じく、入庫時に機械から駐車券を取り、出庫時に支払うシステムです。

待合所は駐車場から道を挟んですぐのところにあり、そのすぐ前には西鉄バスの「能古渡船場のバス停がありました。(愛宕浜営業所は道を挟んだ向かいにあります。)

脇にはしっかりした駐輪スペースもありますので、自転車やバイクで来るという手もありますね。

この日は平日でしたが、コスモス時期であることに加えて天気も良かったせいか、出航の15分前で既に建物から飛び出すほどの行列ができていました。

もちろん中もご覧の通りです。

うに
外国からのお客さんも多いみたいだったよ!

待合所の中には売店や自販機、コインロッカーもあり、古い建物ながらも充実した様子でした。

ちなみにコインロッカーの料金は、大が500円、小が300円。能古島の渡船場にも同じものがあります。

チケットは片道でも往復でも購入可能。往復になると割引があるということもありませんが、どうせ買うものですので往復で購入。460円です。

待合所内には能古島観光マップなども置いてありますので、ここで貰っておくといいかもしれません。貰い損ねても、能古島側にももちろんありますけどね。

出航の5分ほど前になると、乗船が始まりました。

うに
船着き場からは、マリノアの観覧車がきれいに見えたよ!

こちらが福岡市営渡船「フラワーのこ」。見た目はコンパクトですが、乗客300人と乗用車10台を載せることができるそうです。

観光客も多いですが、中には買い出し帰りとみられる島民の方もいらっしゃいました。島民にとって船は、電車やバスと同じ、日常の交通手段の一つなんですね。

船からの景色

船は定刻通りに出航! これから10分間の船の旅です。

私ははじめ、何も考えずに船の左側に乗ったのですが、出港時のおすすめは右側です。博多湾越しに離れ行く百道浜の絶景を眺めることができますよ。

というわけで、船の後部を通って反対側に移動。

フラワーのこから望む博多湾・百道浜

ヤフオクドームと福岡タワーがばっちり見えました。

同じような景色は志賀島周辺からも見えますが、海上からこんなに近くに見るのは初めてです。これだけでもフェリーに乗った甲斐がありました!

右手前方には、能古島の右奥に志賀島(東区)も見えます。

↑ こちらが志賀島。

横からこのアングルで見るのは初めてですので、なんか不思議な感じがします。志賀島海水浴場の上からあんなに急に盛り上がっていたんですね。

振り返ると、遠ざかる百道浜(早良区・中央区)。


船の後方から左右を自由に移動することができますので、左側に移って今宿や今津(西区)のほうを眺めるのもいいですね。

うに
あちこち見たい人は、とにかく大忙し!

ちょろちょろしているうちに、気付けばもう能古島に到着。10分なんて、本当にあっという間でした。

博多から壱岐へ向かう「ちくし」船上からの海景色



能古旅客待合所(渡船場)の様子

能古島に到着しました。人生初の上陸!

ここで乗客のほとんどは待合所の手前で左に曲がり、アイランドパーク行きのバス停へと向かっていきました。時間帯にもよりますが、基本的にはフェリーの到着時間に合わせてバスの時刻表が組んであるようです。

天邪鬼の私は、誰もいなくなったのをいいことに渡船場周辺をゆっくり探索。

こちらの待合室にもお手洗いやコインロッカー、売店などがあります。姪浜待合所よりも新しい雰囲気の建物です。

外に出てみると、これまた博多湾&百道浜の絶景!


ただのビル群といえばそうなんですが、やはり福岡市民にとっては特別な風景なのではないでしょうか。

うに
何度見ても写真を撮っちゃう!

能古島案内所・のこの市

待合所の横には「能古島案内所」「のこの市」との看板が掲げられた、道の駅のような雰囲気の建物がありました。

何があるかというと、観光情報案内所、レンタサイクル受付、お土産店、ファーマーズマーケット、レストラン、その場でいただける軽食など、何でもあり。

中央には自由に座れるテーブルセットが並べてあり、フードコートのように利用できます。

売店セクションには「能古うどん」をはじめとする能古島の名産品、アイランドパークのお土産も各種置いてあり、 能古島のお土産なら何でもここで揃うんじゃないかというくらいの品揃えです。

その他、「RITZ」や「コアラのマーチ」「じゃがりこ」「ドリトス」など、行楽のお供に良さそうなスナック菓子も置いてありました。

能古島内にはコンビニはありませんので、そういった役目も果たしている場所なのかもしれませんね。

何か買いたくなった私は、ふと目に留まって気になった「みかんサイダー220円を購入。アイランドパークのオリジナル商品のようです。

“オレンジというよりみかん” というような懐かしい味わいで、程よい炭酸具合がまた、晴れた日にはぴったりでした。

猫のイラストもまた可愛いので、帰りにまた寄って、お土産に何本か買って帰ろうと思います!

うに
他に、「ラムネード」と「ソルティレモンサイダー」もあったよ!

南の絶景海岸

渡船場を後にし、目指すは「自然探勝路」!

島内マップを手に歩き始めるとすぐ、アイランドパーク行きのバスが停まるバス停がありました。先ほどフェリーの乗客たちはみな、ぞろぞろとここへ向かっていたようですね。

能古島渡船場前バス停

時刻表を見てみると、清々しいまでの “1時間に1本” っぷりです。

とはいえ、フェリーも基本的には1時間に1本ですし、島にしては本数はむしろ多いのかもしれません。

春や秋の花見シーズン中は増便や夜間臨時バスもあるようですので、「もしや」というような時期にはネットや案内所でチェックしてみるといいと思います。

能古島の渡船場周辺の様子

船着き場周辺では、島民の方々が釣りをしたり、自転車を止めて立ち話をしたりしていて、平和な日常生活の匂いを感じました。

うに
さっきの「フラワーのこ」も見えるね!

渡船場を出て500~600mほどは、保育園や公民館、診療所や交番などが立ち並ぶ生活エリアを歩くことになるのですが、それを越えると、南海岸の絶景が待っています。

百道、マリノア、生の松原、長垂海岸など、今津湾をぐるりと見渡しながらの素敵な300m。

砂浜に降りることもできました。

西区に馴染みの強い方には、いつもの景色をいつもと違ったアングルから眺める楽しいひとときになるかもしれませんね!

うに
砂浜には貝殻がたくさん落ちててきれいだったよ!

海を離れ、内陸へ

しばらく海岸を歩くと右手に案内表示が出てきますので、これを見落とさずに右へ。

能古島 自然探勝路への道のり

ここからしばし民家を抜けるまでは道がやや分かりづらいのですが、こまめに案内表示が出ていますので、見逃さないように進んでいきます。

ちょうど稲刈りの時期のようで、稲束が干してある様子も見られました。この後の道中では果樹園や野菜畑なども見かけましたし、能古島って農業が盛んな場所なんですね。

徐々に坂を登りつつ、最後の民家を通り過ぎるあたりで「能古島自然探勝路案内図」と書かれた案内板が登場!

しかし、何もかもが消えかかっていてほとんど読めません

  • 思索の森入口まで2.5km、約1時間40分?
  • 展望台まで3.5km、約2時間?
  • 渡船場まで1.3km、約20分

渡船場まで1.3km」だけははっきり読み取れました。

探勝路沿いに見られる樹木や見どころの案内と見受けられますので、消えているのが本当に残念…。とりあえず、この辺からが自然探勝路のようです。

時刻は11:30。1.3kmしか歩いていないのに、すでに能古島に着いて1時間です。こんな調子では時間がいくらあっても足りませんので(笑)、ちゃっちゃと歩き始めたいと思います!

うに
“消えかかった案内板” はこれからも続出するよ!



能古島自然探勝路

前半45分

展望台への分岐点となる「思索の森入口」までは2.5kmほど、ひたすら木々の中を真っ直ぐ北上していきます。

迷うことはないのですが、一ヵ所だけ戸惑った分岐点がありましたのでお伝えしておきます。

そのスポットがこちら。かなり序盤のほうです。

真っ直ぐ行くか右に行くか、という三叉路です。地図で見ると、こんな感じ。

黄色が今まで歩いてきたルート、オレンジがこれから歩く探勝路、がその迷ってしまう分岐路です。を行けば「早田古墳」を経由して、バス通りや展望台方面に抜けられるようです。ふむふむ。

案内表示もないので不安になりますが、ここは真っ直ぐ進んで正解。ちなみにここで来た道を振り返ると、「自転車の皆様へ」という看板があります。

この探勝路は歩行専用というわけではありませんので、例えば渡船場で借りたレンタルバイクに乗ってここを通ることもできるんですね。

めちゃくちゃ狭いですけど、一応は車も通れる道路のようです。地元の人は移動に使ったりもするのか、思索の森までの道中では2台の車とすれ違いました。

うに
歩いている人やチャリの人には1人も出くわさなかったよ!

足元は、基本的にはコンクリートで舗装されているので歩きやすいですが、枯葉類が積もっているので、やはりスニーカーやトレッキングシューズがおすすめです。

前半は、木々の中をひっそりと歩いて行く道のり。海はほとんど見えません。


風が吹くたびに木の葉が転がりながら音を立て、そわそわとした葉擦れの音も心地良し。どこからともなく鳥の声や虫の音も聞こえてきます。

案内板によると、ウグイス、ヒヨドリ、ホオジロ、メジロ、モズなどの野鳥も生息しているようですよ。

うに
春はたくさん「ホーホケキョ」が聞こえそうだね!

後半35分

探勝路に入っておそらく1.3kmほど、後半に入ってくるとたまに木々がぽっかり途切れて、玄界灘を垣間見ることができるようになります。

能古島 自然探勝路からの海景色

人っ子一人いない静かな山道から覗き見る博多湾の裏側。地味に興奮します。

能古島 自然探勝路から望む玄海島

いまいち自信がありませんが、あの大きな島は「玄海島」ですよね、きっと。

さらに歩みを進めていると、右側に謎の石碑が登場する箇所もありました。いきなり出てくるのでびっくり。

(うるは)しの島 能古 新藤一馬書」「春霞 玄海志賀や 能古の海」とあります。

貰ってきたどのパンフレットにも載っていないので、少なくとも万葉歌碑や檀一雄さん絡みのものではないようです。

石碑にある「新藤一馬」という名前について後で調べてみると、福岡市名誉市民にも選ばれている立派な方でした。(情報元:福岡市公式サイト進藤一馬氏(昭和62年2月18日選定)

福岡が政令指定都市になった1972年から14年間、市長として福岡の発展に尽力された方なのだそうで、もしかするとこの探勝路が整備されたのは、新藤さんの在任中のことだったのでしょうか。

うに
観光マップに載ってないから、見つけてラッキー!

石碑からはこんな景色が見えます。海の向こうに見えるのは糸島半島ですよね。


周囲には紅葉しそうな木(カエデ?)が何本もあったため、もしこれが色付いたらさぞかし綺麗であろうと思いました。

見通しの良い景観が続くこの辺りは、自然探勝路のハイライトと言えるかもしれません。

個人的には、西区や糸島方面の地理に暗いことが悔やまれます。知っていたらもっと楽しかったに違いありません。

海景色を離れて森の中を歩くこと10分足らずで、前方の木のトンネルの先に何やら建物が見えてきました。

建物が何なのかは未確認ですが、牧場か農場といった雰囲気。その手前の道案内を見てみると、どうやらここが「思索の森入口」のようです。

このまま400m進めばアイランドパーク、右の山道に入れば「思索の森」や展望台。今後の行先を大きく分ける分岐点です。

展望台への距離が書いていなかったので、てっきり近いものだと思って地図も確認せずに右折してしまった私は、ここでアイランドパークを逃すことになります(笑)

実はここから展望台へは1kmほどあり、往復すれば最低でも45分はかかってしまう距離。アイランドパークに行くことが第一目的の方は、ここでぜひ直進してくださいね!

おわりに

以上、姪浜を出発してから思索の森入口まで歩いたところで前編終了です。

行程を振り返ってみると、探勝路を歩き始めてから2.5km、かかった時間は1時間20分でした。渡船場からは計3.8km約2時間

かなりの回数立ち止まって写真を撮ってきましたので、一般的なペースよりもたいぶ遅かったと思います。

うに
早い人は、渡船場からここまで1時間半もかからないかも!

後編では、思索の森内散策からの展望台、そして仕上げに謎の「鹿垣」を探索します。旅の続きが気になる方は、ぜひ引き続きお付き合いください☺

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

みなさんも、楽しい能古島訪問を! Polly

※記事内の写真は全て、2019年10月11日に撮影したものです。