こんにちは! 自然観光が趣味のアラフォー福岡市民、「しぜんfan」のPollyです。
当記事は、私が2019年9月15日(日)に初めて挑戦してきた熊本県下益城郡美里町の「日本一の石段」について、その基本情報や、行ってみて分かった情報などをまとめたものです。
どんな場所なのか気になっている方、自分に登れるものかどうか疑問に思っている方、近々登ってみようと考えている方。
そんな方々の情報収集に、少しでもお役に立てれば幸いです。
※記事内の情報は、主に2019年9月時点のものです。
目次
「日本一の石段」概要
まずは、この「日本一の石段」についてのちょっとしたガイド情報から始めたいと思います。
“日本一”と聞くとまず、「えー、ほんとに~?」と疑ってしまうところですが、この美里町の石段に関しては、調べた限りでは本当に日本一です。
何段あるかというと、「3,333段」あります。
この石段が完成する前までは、山形県の「羽黒山(出羽三山神社)」の2,446段が日本一だったそうですよ。
なぜここに日本一の石段?
では、なぜ熊本県の美里町に日本一の石段があるのでしょうか。
熊本出身で、県庁で働いていたこともある母によると「だいぶ前に “熊本に日本一をつくろう!” って運動があったときにできたつよ。そんときはまだ美里町じゃなかったもんね」とのこと。
母の言葉に補足説明をすると、当時熊本県知事だった細川護熙(もりひろ)元首相が取り組んだ「日本一づくり運動」に呼応し、8年の歳月をかけて1988年3月に完成したんだそうです。
平成の大合併前のことですから、当時はまだ美里町は誕生しておらず、「中央町」という町名でした。

なんのための石段?
母の説明その2:「あそこは上にお寺さんがあるもんね。そばってん、昔は石段やなかったらしかよ」
石段のある「大行寺山」の頂上には、「釈迦院」という1,200年以上もの歴史のあるお寺があり、南の八代市側からと北の下益城郡美里町側からと、主に二つの到達ルートがあります。

古くから表参道として利用されてきたのは美里町側のほうで、それが先出の「日本一づくり運動」や町おこしのために、日本一の石段のある観光名所として生まれ変わった、という経緯のようです。
ただ観光名所として造られたというわけではなく、古くから意味のある道のりでもあったんですね。
というわけで、石段の正式名称は「釈迦院御坂遊歩道」となるようです。

(※ここまでの説明文は、釈迦院の公式パンフレットの内容を元に作成しました。)
石段の規模
それにしても、「3,333」という数がどれだけのことなのか、聞いただけではなかなかイメージできませんよね…。
これだけの段数をかけて登る「高さ」はというと、一段目の標高が「240m」で、三三三三段目の標高が「860m」ですので、その標高差は「620m」です。
しかも、階段のないパートもあるため、けっこうな距離を歩くことになります。
例えば熊本市内の金峰山の標高はおよそ665mで、あちらの麓の標高が何メートルあるのか分からないので正確に比べることはできないのですが、イメージ的には「金峰山くらいの山を、3,333段の石段を使って登る」という感じでしょうか。
うーん。そう聞くと、“楽々ではない”ような気もしますね。
私の感想・所要時間
実際に登ってみた感想がこちら。
- 「石段」という言葉の裏にあるのは「標高差620mの登山」。立派なアウトドアアクティビティでした!
- 最上段までの平均的な所要時間は2時間前後(人々との交流より勝手に推察)
- 簡単ではないけれど、平均的な体力があれば誰でも踏破可能!一歩一歩、マイペースに進めば、いつかは上に着きます
- 再び一段目に戻ってきたときの充実感と開放感がすごい!必ずや「登って良かった!」と思うはず
- 数日間の筋肉痛は覚悟しよう(私の場合は4日間)
- 真夏はちょっとキツいかも…
私の体力レベルはどんなもんかというと、体力はわりとあるほうだと自分では思っているのですが、ここのところは確実に運動不足。そして、若干貧血気味です。
登山の場合は、張り切りすぎるとクラクラと気分が悪くなってしまうことも多いので、今回もゆっくりマイペースで登りました。
結果、最上段までの到達時間は「3時間10分」!
最上段からさらに1km先にある釈迦院(後述)までの往復にかかった時間は、数々の休憩も含めて「5時間50分」でした。
その日登った人の中で、ダントツで最下位だったと思います(笑)
でも、踏破は踏破!
登っている最中は「なんでこんなきついことやってるんだろう…」と思わないでもなかったですが、やり切ってみて本当に良かった✨!
精神的にも経験的にもレベルアップした気分になりましたし、いい夏の思い出です。

思い出づくり、話題づくりには最高の場所ですので、迷っている方はぜひ挑戦してみてほしい、と個人的には思います。
アクセス
次は、その“日本一の石段”こと「釈迦院御坂遊歩道」の場所を確認してみましょう。
下の地図の、黄色のエリアが「美里町」で、★の付いている場所が石段のおおまかな位置です。

熊本市中心部からは35kmほどのところにあります。
公共交通機関は?
公共交通機関で行く場合はバス一択となり、熊本市内からは「熊本バス」と「麻生交通」を乗り継いで、
松橋からは「産交バス」と「麻生交通」を乗り継いで行くことができるようです。(美里町公式ウェブサイト「日本一の石段(御坂遊歩道)」より)
本数は、一日4~5本。
例えば日曜日に「熊本交通センター(現・桜町バスターミナル)」から出発した場合、石段前バス停への到着時間は10:49、12:19、15:34、18:03のいずれか。
そして帰りの便の発車時間は9:16、11:06、12:36、16:51。
私のように滞在時間が6時間もかかるようでは(笑)、始発で来て終バスで帰るしかないという綱渡り状態となってしまいます。
しかも、乗り継ぎにも時間がかかるので、下手したら移動に片道2時間かかってしまう模様。
というわけで、初めて石段に挑戦するという場合は特に、マイカーかレンタカーが断然おすすめです。
駐車場情報
次は駐車場についての情報です。
現地に行く前までは、町営のだだっ広い駐車場があることを想像していたのですが、実際には小規模な駐車場が石段上り口付近に点在している、という感じでした。おそらく、地元の方々が個人単位で経営されているのではないかと思われます。
町営のものも少し離れたところにあったようですが、利便性の問題から、これらの民間駐車場を使う人がほとんどだと思われます。
駐車料金の相場は、時間制限なしで100円~300円。基本的には、石段に近いほど高くなるようでした。
私が利用した200円の駐車場では、出入り口付近に料金箱が置いてあり、そこに各自お金を入れるというスタイルでした。
無料駐車場を期待していましたが、石段があるのは山道沿いの小さな集落ですので、料金がかかるのは致し方ないですね。環境維持費と思えば安いもんです。
おすすめの服装・持ち物
ここで、私が実際に登ってみて必要だと感じたものを挙げてみたいと思います。
基本的には、一般的な野外活動やハイキング時と同じです。
- 動きやすく、汗を吸いやすい服装(Tシャツ、ジャージなど)
- スニーカーやランニングシューズ
- 水やお茶、スポーツドリンク(最低でも350mlを1本、できれば2本)
- 夏場は帽子、日焼け止め、虫除け
- 何かエネルギー補給や塩分補給ができる食べ物
- 人によってはお昼ごはん(上に展望東屋もあります)
- トイレの紙が切れていた場合に備えて、ポケットティッシュ
- できるだけ身軽で!
登り始めると自販機は一切ありませんので、飲み物は必須です。
石段の入り口付近に自販機がいくつかありますので、準備してきてない場合はそこで入手してもいいと思います。

私が行った日(日曜)は、朝9時の時点でお茶が一種類だけ売り切れていましたが、午後には購入可能になっていましたので、定期的に補充してくれているようでしたよ。(これが日曜のことだけだったらすみません。)
ちなみに、一番近いコンビニは石段から9 kmも離れていますので、飲み物やランチを買いたい人は段取りに要注意です。(石段の入り口付近には商店もあったようですが、営業時間や販売内容については未確認です。)
それから靴について。
私は普通のキャンパススニーカーを履いていたのですが、底が薄いしサポート力も低いし、さすがに石段3333段+釈迦院までを往復するにはいまいちでした。
底がしっかりして軽量な運動用スニーカーをお持ちであれば、絶対にそちらを選ぶことをおすすめします。疲れ具合が違ってくると思いますよ。
お手洗い情報
最後に、意外と重要なトイレについて。
麓から頂上までで、公共のお手洗いは4か所ありました。それぞれの外観を写真でご紹介いたします。
1.麓の車道沿い
まずは、石段の登り口の250mほど手前(西)の車道沿いにある公衆トイレです。

ここに停めて石段を登る人が後を絶たなかったのか、「ここはトイレ専用駐車場です。長時間の駐車はご遠慮下さい」と明記してあります。
2.200段付近
次のチャンスはこちら、200段目付近の広場にあるトイレです。

これを逃すともう1,700段目付近までは一切ありませんので、少々乗り気でなくても行っておくことをおすすめします。
3.1700段付近(バイオトイレ)
こちらがその、1,700段目付近のトイレ。おが屑を利用したバイオトイレです。

バイオトイレを初めて使う場合はちょっと抵抗感があるかもしれませんが、イヤな臭いも全くせず、キレイに保たれていました。
九州ではまだあまり見かけない気がしますが、北海道のスキー場では割と見かけたものです。水で流すのではなく、微生物の力で分解するとは、素晴らしい発明ですよね!
トイレ前には手洗い用の水が入ったタンクもちゃんと設置されていましたが、復路に寄ったときには空になっていたため、水があるのは早い時間帯までと思っておいたほうがいいかもしれません。

ちなみにこの水には「飲料用ではありません。ご注意ください」と書き添えてありました。
4.釈迦院
最後は、石段の頂上からさらに登った先にある「釈迦院」のトイレです。

実はこのトイレ以外にも、「トイレはこちら」と別の場所を指した案内が出ていたと思ったのですが、結局どこか分からず仕舞いでした。
とにかく、一ヵ所は間違いなくあるということですね。
これらのトイレはどこもキレイに維持されており、ありがたいことにトイレットペーパーも完備されていました。
とはいえ、念のためポケットティッシュの備えもあると安心だと思います。
おわりに
以上、「日本一の石段、初チャレンジ前に知っておくと便利な基本情報」をお送りいたしました。
しがない一個人の体験を元にしただけの記事ではありましたが、少しはみなさんの情報収集にお役立ていただけたでしょうか。
イメージが湧いてくれば、あとは天気を見計らって決行するだけ!みなさんの石段登りの成功を祈って、締めくくりとさせていただきます。
100段ごとに休憩するような私でも、マイペースに頑張れば最後まで登れましたので、みなさんもきっと大丈夫です!
本文には書き損ねたのですが、毎年6月には「Red Bull 白龍走~石段駆け上がり頂上決定戦」という大会も行われており、それに出場するような人たちは35分とか45分とかで登ってしまうそうですよ。
そのタイムの凄さは置いといて、大会が開催される週末は一般の人は入れない可能性大です。詳しい大会情報はこちらの公式ページでご確認ください。
※2020年は、新型コロナの影響で開催はされないようです。(2020.6.9追記)
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!
それではまた☺ Polly

※記事内の情報および写真は、2019年9月15日当時のものです。