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目次
観光レポート(つづき)
鴻臚館(こうろかん)跡
鴻臚館とは?
球場跡の草っぱらをずんずん歩いて展示館へ向かっていると、途中、三塁側にある作業小屋のような建物のフェンスに、「鴻臚館」についての説明パネルがいくつか掲示されていました。

それによると、鴻臚館とは平安時代の外交に使われていた迎賓館のことであり、とんでもなく重要な国の史跡であることが分かりました。加えて、
というようなことも分かっているそうです。
以前からここにあるのでは、という話はあったそうなのですが、それが最終的に確実になったのが1987年、平和台球場の外野席スタンド改修工事に伴って行われた発掘調査の際。
遺跡の発見を受けて、後々は史跡公園として整備する計画が立ち上がるも、球場の使用はなんだかんだで1997年あたりまで継続され、その後、老朽化と本格的な史跡公園整備のためにいよいよ2007年に解体工事が始まり、今に至るというわけです。
ちなみに、平和台球場で最後のプロ野球公式戦が開催されたのは、1992年10月1日のダイエー対近鉄戦でした。(情報元:Wikipedia「平和台野球場」)
やはり、涙・涙のセレモニーが行われたりしたのでしょうか。
そのときのことも気になりますが、鴻臚館があった時代にまで話を戻すと、当時この辺りは低い砂丘地帯で、万葉集の中には「志賀島が見える場所」「波の音が聞こえる場所」と表されているそうです。
それを江戸時代、福岡城築城の際に黒田長政が土地の高さを調整するために盛り土をしたり、近代でも海岸の埋め立てが進み、そんな風流な海沿いの風景は見る影もなくなってしまったんですね。
なんかいろいろ、すごい発見のある場所です。
鴻臚館跡展示館
外野レフトからセンターを突っ切って、ようやく展示館が近づいてきました。


入場は無料ですが、展示館入口の脇には小さな受付があり、そちらで簡単な入館表に記入して入館するというシステムでした。(ざっくりとした住所や出身国くらいなものだったと思います。)
館内の様子はというと、中心に遺構の一部がどーんとそのまま公開されており、それを取り囲むかたちで説明パネルや実際の出土品などの様々な展示物が設置されています。

鴻臚館の復元イメージ図や復元された礎石建物も見ることができるので、「百聞は一見に如かず」で、小難しい歴史や史跡がらみのこともわりとイメージしやすかったように思います。
中でも感心したのが、この鴻臚館が国内初の“古代のトイレ”が発見された場所でもあり、当時(奈良時代)の人々が何を食べていたのか、どんな風に用を足していたのかを知ることができたということ。
ますますすごいです、鴻臚館跡。
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日:12月29日~1月3日
入館料:無料
英語対応:あり
※2019年10月10日時点での確認情報です。
福岡城址
さて、仕上げは福岡城址です。
先ほどの探訪館のお姉さんによると、鴻臚館広場から天守台跡まではおよそ15分とのこと。せっかくなら、天守台まで行ってみたいですよね、眺めも良さそうですし。
地図で見ると、福岡城址は陸上競技場と鴻臚館広場を足したくらいの広さがありますので、一通り散策してみるという場合は1時間はみておいたほうが良さそうです。
いざ出発! ということで、展示館を出て左手の「東御門跡」に向かいたいと思います。
東御門跡から城址内へ
こちらが東御門跡。鴻臚館広場の隅っこにあります。

広場の方もそうだったのですが、この日は園内各所で環境整備作業が行われており、東御門周辺でも枝木の剪定作業が行われていました。園内で見かけた案内によると、この維持管理作業は2020年春まで続くようです。
そりゃあこれだけ広い公園ですから、整備作業に時間もかかりますよね。

城内は三の丸から天守台までの4フロアーに分かれていたそうですので、これから天守台までは、段々と景色が良くなっていくものと思われます。
緩やかな階段を上がって二の丸に向かう途中、左にはラグビー場、その奥に野球場、右にはテニス場と先ほどの陸上競技場が見えました。

“城址”なのに、いくつものスポーツ施設が集まっているとは、いかに広いお城だったかが窺えるというものです。
二の丸跡・梅園
「扇坂」を過ぎ、二の丸へと入っていきます。

二の丸広場には梅園があり、2月には「福岡城 梅まつり」が開催されます。私は行ったことがありませんので、ぜひ来年はここで満開の梅を見てみたいものです。

本日、梅を観に行ってみましたが、残念ながらあまり咲いていませんでした。
よくよく調べてみると、今年の梅まつりは2月15・16日(土・日)だったようです。暖冬のせいで、開花が早かったものと思われますね。残念でした。

前方の「表御門跡」を抜けると、次は本丸広場です。
工事中の祈念櫓
ここでいきなりですが、「祈念櫓(きねんやぐら)」についてのミニ情報です。
実は先ほどの扇坂付近にも案内板が建っていたのですが、本丸の北東にある祈念櫓は現在工事中で見ることができません。木の根などで膨らんで緩んできた石垣の補修工事だそうで、作業は2023年3月31日までの予定。

最近知ったのですが、福岡市には「福岡みんなの城基金(福岡城整備基金)」という募金制度があり、間接的にではありますが、誰でもこういった修復作業に参加することができるんですよね。
若いころはそういうことに無頓着でしたが、アラフォーになった今、地域の文化を知ったり守ったりすることに興味を持つようになりました。そういうわけで、参加検討中です。
もしご興味のある方は、福岡市のホームページ「ふくおか応援寄付」で詳細を確認することができますよ。
本丸跡周辺
本丸跡には木々の間を散策できる遊歩道やベンチがあり、公園のような雰囲気。お手洗いもあります。
石垣の淵からは先ほどの梅園を見下ろすこともできました。
立派な木々もたくさんあり、公園管理事務所では「舞鶴公園 花と大木を巡る地図」という素敵な地図も配布されていましたので、それを見ながら公園内をゆっくり散策するのも楽しそうだと思いました。
また、本丸の脇からは「多聞櫓(たもんやぐら)」や福岡市美術館方面へ通り抜けできる下り坂が伸びており、その周辺の風景がとにかく美しかったです。

何百年も前にこうしてデザイン設計をした人がいて、それが今でも残っているというのは、つくづくすごいことですよね。
天守台へ
さて、次は今回の観光のフィナーレ、「天守台」です。
天守台へは、こちらの「鉄(くろがね)御門跡」から階段を上っていきます。

「天守」は「天守閣」と呼ばれることもあるようで、となると「天守台」というのはおそらく“天守閣の土台”という意味。
となると、「元々はここに天守閣があったけれども何らかの理由で消失してしまった」のかと思いきや、実は“天守閣は元からなかった説”や“あったけど後年取り壊された説”など諸説あり、実際の存否は不明なんだそうです。
この時代、あまり派手で大きなお城を建てると将軍様の怒りを買ってしまうので質素な城しか建てられなかった、というような話は全国各地にあるようですが、ここもそういった理由なんでしょうか。
事実の解明は専門家の方々にお任せするとして、さきほどの「鉄御門」を抜けると、天守台へ続く歩道橋が設置されています。
そしてこの先にある展望台こそが、この福岡城址訪問の一番のハイライトと言っても過言ではありません。
なぜかというと、この展望台からは、何気に福岡市を360℃見渡す大パノラマを楽しむことができるから。
おすすめはやっぱり、大濠公園や福岡タワー、ヤフオクドームを望む北西方向です。

とても気持ちのいい場所でしたので、福岡城址に行く機会があればぜひ天守台まで上ってみてほしいと思います!
なんだかんだ、駐車場を出発してからここまでで約3時間。時間があれば大濠公園側の日本庭園にも行きたいなと思っていたのですが、舞鶴公園だけでも予想をはるかに超えて見どころ満載でした。
「多聞櫓」や「潮見櫓」などまだ見ていない場所はありますが、今回はここまでで引き返すこととします。

最後に鴻臚館広場を一望して、レポートを終了したいと思います。おつかれさまでした!
おわりに
元はといえば、「ライオンズとホークスの思い出の地である平和台球場の跡地を見たい!」というところから始まった今回の観光でしたが、思いがけずに福岡の歴史について知るいい機会となりました。
今回、観光客目線で地元・福岡の観光地を訪ねてみて気が付いたのは、「福岡って外国語での案内がわりとしっかりしているな」、ということでした。
私は外国人の連れと日本中を旅した経験があるのですが、地方都市では特に、資料館や史跡などでは外国語での説明文がないことが多々あったんです。
しかしこの福岡城址は、見るからに古い案内板にでも英語・中国語・韓国語で説明文が併記されていましたし、観光案内パンフレットもちゃんと外国語のものを置いていたりと、外国人訪問者への意識が高いという印象を受けました。
そういったところにも、古代から外国との玄関口として在った“国際都市”として根付いているものがあるのかな、と勝手に感慨に耽ったり。
自分の生まれ育った土地のことを客観的に見るのも、なかなか面白いものですね。
舞鶴公園にはたくさんの銀杏の木がありましたし、春には梅、桜、ツツジ、牡丹、藤などたくさんの花々も楽しめるようですので、ぜひまた季節を代えて遊びに行ってみたいと思いました。
でもまずは、CS! 西武もソフトバンクもがんばれー!
2019年シーズンは、CSも日本シリーズもソフトバンクの圧勝に終わってしまいましたね…。ホークス強し。2020年シーズンの展開にも期待しましょう!
長い記事となってしまいましたが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
それではまた☺ Polly

※記事内の写真・情報は、主に2019年10月8日時点のものです。